場所後に大関昇進の可能性がある関脇2人が、ともに勝ったものの、その内容について、協会トップの評価は分かれた。

今場所10勝で大関昇進に手がかかる大関とりの霧馬山(27=陸奥)は、錦富士との取り直しの相撲で何とか白星を挙げ、連敗は免れ3勝目。最初の一番は立ち遅れたため、瞬時の反応で左へ変化。錦富士に軍配が上がり、命拾いとなった取り直しの一番は、明らかに左変化の立ち合い。何とかはたきこんだ。報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「昨日の負けが響いているようで、勝たなければいけないというプレッシャーがあったかな。もっともっと元気を出してほしい。(立ち合い変化は)考え方が消極的」と語った。大関とりには相撲内容も評価に加味されるが「あまりいい印象はないですね」と注文を付けた。

一方、明白な「大関とり」の場所ではないが、12勝以上など高いレベルの成績次第で昇進の話題が審判部で上がりそうな大栄翔(29=追手風)は、正代を突いて起こし、1度は引いたものの、思い直したように突き押しを繰り出し、タイミング良くはたきこんで無傷の4連勝。押し相撲で頂点に上り詰めた八角理事長は「今日は立ち合いから思いきり行かず(相手を)見て行き、無理して出て行かなかった。勝てると思う相手に、安全に勝ちに行くのは押し相撲の力士には難しいこと。今日はそういう相撲を取った」と分析した上で「そういう意味で力をつけた印象」と、こちらは好印象を持ったようだ。