モンゴル出身で大関とりの関脇霧馬山(27=陸奥)が、大関昇進を確実にした。かど番の大関貴景勝を寄り切って破り10勝目を挙げ、昇進の目安とされる「三役で直近3場所33勝」に到達した。

  ◇  ◇  ◇

「オッス、オラ悟空!」-。このフレーズを聞けば、陸奥部屋の力士たちは霧馬山の逸話を思い出す。人気アニメ「ドラゴンボール」の次回予告だが、来日当初の霧馬山が最初に覚えた日本語と言われている。突如、発した言葉で爆笑の渦に巻き込み、周囲と打ち解けるきっかけになった。

当時のことをよく覚えているという元三段目の霧津羽左こと安井彩人さん(25)は、兄弟子から命を受けて入門直後の霧馬山の日本語教育係を務めた。「自由時間がなくなるし、最初は嫌々でした」が、寝床にひらがなシールを貼るなど必死な姿に感化された。「何事も一生懸命でした。みるみるうちに日本語を吸収して、いったいどこで覚えたの? と思う言葉も口にしていました」と懐かしむ。昨年1月に現役引退し、現在は救急救命士を目指して専門学校に通う。弟弟子の貪欲に学ぶ姿を見習い、夢を追いかける。【平山連】