新入幕で西前頭15枚目の大の里(23=二所ノ関)の記録ずくめの金星はならなかった。結びの一番で初顔合わせの横綱照ノ富士に敗れ、8勝4敗。金星を期待した場内のファンからは、ため息が漏れた。

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大の里は、照ノ富士に土俵下まで投げられた。体当たりの立ち合いから真っ向勝負。右をのぞかせて前に出ようとしたが、相手は動かない。次第に棒立ちにさせられ、それでも強引に前に出ると、誘い込まれるように上手投げで仕留められた。「立ち合いで当たったけどビクともしなかった。さすが横綱だと思った。頭が真っ白。何も自分の相撲を取らせてもらえなかった」と唇をかんだ。

勝てば14年秋場所の逸ノ城に並ぶ、史上最速の初土俵から5場所目での金星だった。同じく史上4人目となる新入幕力士の金星も逃した。ただ、新入幕で横綱と対戦するのも10人目という非常に少ないケース。早くも歴史に名を残した格好だ。「1年前、観客席から見ていた時には想像もしていなかった。集中して15日間を締めくくりたい」。この黒星も糧に、2桁白星を目指す。【高田文太】