新入幕の東前頭17枚目の尊富士(24=伊勢ケ浜)が110年ぶりの快挙に王手をかけた。前日12日目に喫した初黒星の影響なく、関脇若元春を攻めて寄り切った。1敗を守っての12勝目。大関経験者の朝乃山との対戦が組まれた今日14日目に勝てば、1914年(大3)5月場所の両国(元関脇)以来の新入幕Vと所要10場所の史上最速優勝が決まる。大関豊昇龍と大の里が3敗を守り、可能性をつないだ。

   ◇   ◇   ◇

3日連続で三役以上との対戦となったこの日は、関脇若元春(30=荒汐)を相手得意の左四つになりながら、左からすくって相手を崩し、最後は右も巻き替えてのもろ差しから一気に寄り切った。

初土俵から所要9場所と、史上最速タイのスピード出世(58年以降初土俵で幕下付け出しは除く)で新入幕を果たした尊富士は、残り2日で後続に2差をつけ14日目を迎える。3敗勢の2人とも負けるか、尊富士が勝てば新入幕初優勝が決まる。

後続で2差の3敗で追う4人のうち2人が直接対決となり、大関豊昇龍(24=立浪)が平幕の豪ノ山(25=武隈)をすくい投げで破り、かすかに残る逆転優勝に望みをつなげた。残る2人のうち、平幕の大の里(23=二所ノ関)も関脇大栄翔(30=追手風)を、はたき込みで破り3敗を守ったが、新大関の琴ノ若(26=佐渡ケ嶽)は今場所最初の大関対決となった貴景勝(27=常盤山)に送り出しで敗れ、優勝争いから脱落した。また既に負け越しが決まっている霧島(27=陸奥)は、平幕の金峰山(26=木瀬)に寄り切られ10敗目を喫した。

平幕では連日、ご当所力士として土俵をわかせている東前頭筆頭の宇良(31=木瀬)は翔猿(31=追手風)にはたき込みで敗れ、7敗目を喫した。こちらも返り三役を狙う西前頭筆頭の朝乃山(30=高砂)は、小結阿炎(29=錣山)を突き落としで破り、勝ち越しを決めた。高安(34=田子ノ浦)は勝って、2ケタ勝利に王手をかける9勝目。幕内残留が厳しい状況に追い込まれている東前頭16枚目の遠藤(33=追手風)は、玉鷲(39=片男波)に勝って連勝で4勝目を挙げた。

13日目を終え、1敗の尊富士が単独トップ。後続には2差がついており3敗で豊昇龍、大の里の2人が追う。14日目は尊富士が朝乃山、豊昇龍は琴ノ若と、大の里は阿炎と対戦する。