横綱照ノ富士(33=伊勢ケ浜)が現役引退を発表し、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)同席で、両国国技館で会見した。今後は伊勢ケ浜部屋の部屋付きで「照ノ富士親方」として、後進の指導にあたる。

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「逆にどう?」。内心、出場を決心した本場所が近づいてくると、照ノ富士はよく報道陣に逆質問していた。仕上がりが気になっていた。現役終盤は下半身、特にしりの筋肉の盛り上がり具合の差が激しかった。盛り上がっていると指摘すると「ホント!?」と、うれしそう話していた。こちらも本音で、しりが盛り上がっていない時は、上半身が仕上がっているとだけ伝えた。すると「ふーん」と、物足りなさそうだった。

時折、本音を漏らすことがあった。一昨年1月の明治神宮奉納土俵入り後には「将来を考えたら、今でもやめたいよ」と語った。両膝は「人工関節を入れないといけないぐらい」と、極めて状態は悪い。付け人らの肩を借りないと、段差を降りられなかった。両膝への負担を軽減する、しりの盛り上がりが生命線。だからその評価が気になった。

やめたくても、やめられなかったのは一人横綱の責任か。そう問われると「違います」と即答した。「自分がやりたいから。1回立てた目標があるから。それを達成しないと自分の中で満足感がない」と続けた。当時は目標としていた2桁優勝達成前。それを昨年名古屋場所で果たし“燃え尽き症候群”のような心理状態となった。一方、稽古場では熱心に弟弟子を指導。情熱のベクトルが変わったことで、引退へと一気に向かわせていた【高田文太】