綱とりの大関豊昇龍(25=立浪)が、気合を前面に出して全勝のライバルを止めた。高校時代から競ってきた、同期の前頭王鵬を送り倒し。1敗を守った。

先場所は大関琴桜との千秋楽相星決戦に敗れ、優勝次点も、13勝2敗の好成績。今場所優勝なら、横綱昇進をグッと引き寄せる中で、好調キープをアピールした。千代翔馬(33=九重)と金峰山(27=木瀬)の平幕2人が、無敗を守った。

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自らを鼓舞するように、いつも以上の力で、まわしをバンバンとたたいた。最後の仕切りを終え、豊昇龍は気合十分の表情。負けん気を前面に出した立ち合いは、叔父の元横綱朝青龍をほうふつとさせた。王鵬が得意とする突き、押しで対抗する真っ向勝負。そこで主導権を握ると、相手の左を手繰って横向きにした。さらに背後を取って、土俵の端から端まで横断して送り倒した。「気合を入れて相撲を取った。同期だし、負けたくなかった」。ライバルと公言してきた全勝の王鵬を破り、うなずいた。

千秋楽にギリギリ勝ち越した昨年9月の秋場所後から、1日500回を目安にてっぽうを続けてきた。墓穴を掘ることが多かった、苦し紛れの投げから脱却して、前に出る突き、押しに磨きを掛けた。それが先場所からの好成績につながった。豊昇龍は「立ち合いの後、腕も伸びるし、いい感じ」と、成果を口にする。

てっぽう継続のきっかけは、もとをたどれば王鵬の祖父で元横綱大鵬の言葉だった。豊昇龍の師匠の立浪親方(元小結旭豊)は「親方になって間もなく、大鵬さんに『四股500回、てっぽう1000回。それを毎日やるから、みんなが力士として認めてくれる』と言われた。それを豊昇龍にも伝えた」と、昨年秋場所後の出来事を明かした。

高校時代から競ってきた王鵬の祖父に、運命的に成長のきっかけをもらった。故人の言葉よりも四股、てっぽうともに500回足りないが、それを補って余りあるほど豊昇龍は筋力トレーニングを続けてきた。この日の取組後は「今までやってきたことを信じて相撲を取った」と胸を張った。

前日6日目に横綱照ノ富士が引退し、同じく綱とりだった琴桜の今場所後の昇進は消滅した。93年春場所で曙が昇進して以降、番付に名を連ねていた「横綱」が、このままだと来場所は32年ぶりに不在となる。そんな危機を救う可能性を唯一持つのが豊昇龍。2度目の優勝で、全てを丸く収めるつもりだ。【高田文太】

▽八角理事長(元横綱北勝海) 豊昇龍は立ち合いが厳しい。今場所は臆せずに突っ込んでいる。押し込んでからという意識がいい。力強くなった。王鵬も含めてファンの期待に応えた。大の里は止まりかけたが、うまく左からおっつけた。

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