記録ずくめの昇進だけじゃない。土俵入りも「唯一無二」だった。今月の大相撲夏場所で2場所連続4度目の優勝を果たし、新横綱に昇進した大の里(24=二所ノ関)が30日、東京・明治神宮で横綱土俵入りを公の場で初披露した。ただし雷雨の影響で一般公開は中止。明治神宮での新横綱の奉納土俵入りは51年の第41代の千代の山以降、第75代の大の里が74年で35人目だが、天候の影響で一般非公開となったのは初。それでも192センチ、191キロの大きな体を生かした所作は迫力満点。次の名古屋場所(7月13日初日、IGアリーナ)へ期待は高まるばかりだ。
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音が違う。スケールが違う。巨体の大の里が四股を踏むと「ドスン」、かしわ手を打てば「バチン」と、大音量が響き渡る。前日29日に、師匠の二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)に初めて横綱土俵入りを教わったばかり。ぎこちない動きながら、長い手足を一段と伸ばす雲竜型の迫力は圧巻だった。天候に恵まれていれば、1万以上のファンや参拝客に見守られていたかもしれない。公の場での初の土俵入りは、見守った関係者が一様にダイナミックな所作に引き込まれていた。
大関昇進時に続き、横綱に昇進した28日の伝達式では「唯一無二の横綱を目指します」と口上を述べた。74年前から新横綱の恒例行事となった、明治神宮の奉納土俵入りで、天候の影響で一般非公開となったのは初。本来は石畳の上で大勢に見守られて行うところ、屋根のある社殿で関係者約200人の前での披露となった。コロナ禍の21年名古屋場所後の照ノ富士以来、2人目の社殿での土俵入りは、不慣れで焦ったのか、短い1分22秒で終了。それでも居合わせた参拝客ら約1000人からは「日本一!」などの声援が起きた。所作も事象も「唯一無二」となる天賦の才がある。
緊張は「特にそこまではしていない」と、大物感たっぷりに話した。その上で「しっかり堂々とできた」と満足そうに振り返った。二所ノ関親方も「うまくやれていた。露払いが竜電、太刀持ちが高安。2人が初めてじゃないから安心感もあったと思う」と高評価。愛弟子の成長に目を細めるとともに、自身の現役時代に続き、2代にわたり太刀持ちと露払いを快諾してくれた2人に感謝していた。
31日には尾車親方(元前頭琴恵光)の引退相撲で、両国国技館で初めて土俵入りを行うが「また土俵の上だと違うと思う。また勉強して頑張りたい」と意欲的に話した。夏場所13日目に決めた優勝から「怒濤(どとう)の1週間だった」と苦笑した。初土俵からは、まだ2年。大の里が進む道には「唯一無二」が、あふれている。【高田文太】

