大相撲の本場所中、関取衆は毎日15日間、取組がある。翌日の取組は通常なら、その日の取組前に決まっている。
翌日の対戦相手が誰か、あらかじめ知るのか否か。これは関取によって異なる。
ほとんどの力士は、前日のうちから対戦相手を把握し、映像などで研究を重ねる。どういう作戦でいくか、イメージを膨らませる。一方、当日の朝、もしくは場所入りして支度部屋で初めて対戦相手を知るようにしている力士もいる。
▽藤ノ川の場合 「僕は見ない派なんで」と話す藤ノ川に事情を聞いた。
「次の日のことが頭によぎってしまうので。この時間帯(取組後)に考えたくない」というのが理由。伊勢ノ海部屋では、グループラインで次の日の対戦が送られてくる。「見てしまうこともあるので、通知をオフにしています。朝、携帯を見て、稽古場で対策します。十両に上がってからそうしています」。
▽美ノ海の場合 会場入りし、支度部屋に着いてから初めて対戦相手を知る。「それまでは見ないように、気にしないようにしています。昔はいろいろ相手の相撲とか考えたのですが、変わらない。結局、勝っても負けても左を取りにいっているので、(事前に映像を)見る意味はないんです。だいたい知ってますし」。同年代の力士の取り口はすべて頭に入っており、巡業の稽古で頭の中の情報を整理している。「帰ってからは相撲を見ません。治療に時間を使ったりしているので」。
▽阿武剋の場合 当日の朝稽古の場で、対戦相手を確認する。「意識しすぎても、いいことがあんまりないので」。このスタイルはずっと変えていないという。「でも、たまにこいつが言ってくる時があります。言うなって言っているのに」と、笑いながら付け人の隆志に視線を送った。「テレビでリプレイを見ていると、右下に出てきちゃうんですよね」。見ないようにしているものの、決して神経質になっているわけではないようだ。
取材陣は支度部屋で話を聞く際、「明日は○○との対戦ですが?」といきなり対戦相手を口にしてしまうのはマナー違反。翌日の話を聞きたい場合は、多くの記者が「明日の対戦は把握していますか?」と確認している。【佐々木一郎】

