安青錦の夢は、来場所以降に持ち越された。1差で追う琴勝峰戦。突き落とされて、土俵にはった。「中に入られて良くなかった。いつもの立ち合いができなかった」と振り返った。

日に日に高まる優勝への重圧。緊張感について「ないと言ったらウソですけど、あると思います」と言った。ただ、間髪入れずにこう続けた。「自分の相撲人生はこれからなんで、来場所からこの経験を生かしていきたいです」。

爪痕をしっかり残せた場所でもあった。東前頭筆頭で、3場所連続11勝。23年秋場所の初土俵以来負け越しがない。来場所は新三役昇進が確実。所要12場所は朝青龍らの14場所を抜く、年6場所制の58年以降で付け出しを除き、最速記録になる。それでも「勝ち越したのもいいけど、目指しているところじゃない。優勝のチャンスをつかめなかった。悔しい思いの方が強い」と自分に厳しく言った。

内無双で2勝を挙げ、下手ひねりも繰り出した。独特の前傾姿勢で攻め抜く取り口は、個性が際立っている。2場所連続で敢闘賞を受賞してきたが、今回は「技能賞」をもらった。「自分の相撲を認めてくれたのはうれしいですが、もっと強くなりたいって気持ちがあります」。いつかは優勝へ。その可能性は高いことを15日間の土俵で示して見せた。【佐々木一郎】

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