旗揚げ10周年を迎えたSKE48のエース松井珠理奈(21)を先日、取材した。自身とグループの10年間の足取りを振り返ってもらうAKB48グループ新聞10月号の企画で、高柳明音(26)と対談してもらった。

松井は6月の世界選抜総選挙で自身初のトップ当選を果たしたものの、その後は体調不良で約3カ月、休養していた。顔を合わせるのも、話を聞くのも、開票翌日の一夜明け会見以来、約4カ月ぶりだった。

久々に会った松井は、ややふっくらしたように見えた。「5キロ太っちゃいました(笑い)」。近くで松井を見たことのあるファンなら分かると思うが、松井は驚くほど線が細い。特に腰回りは、あのダイナミックなダンスを本当に支えてきたのかと思うほどの細さ。あの細さが、163センチの体をさらに長身に見せていたのだが、個人的には心配でもあった。それが、少しでも改善されたのであれば、歓迎すべき変化だと感じた。

休養していた3カ月間、外に出歩くことはほとんどなかったという。料理やアクセサリーを作ったり、作詞をしたり。「女子力がすごく上がりました」。SNSも更新を休み、ネット記事など外からの情報は、「気にしちゃいけないから」と、ほとんど入れなかったという。それがいい心のリフレッシュになったのだろう。そう確信する変化があった。

実は6月の選挙直前、1対1で話す機会があった。「ファンの方も選挙を戦ってくれてるから、私も寝てはいられなくて」。気の毒になるほど追い詰められ、鬼気迫る面持ちだった。4カ月ぶりの再会で、あらためて体調不良の原因を聞いた。「選挙前、3日くらい寝ていなかったんです。ファンの方も寝ずに選挙を戦ってくれてるから、私も戦わなくちゃって。だから、選挙が終わってほっとしたのもあって、疲れがどっと出ちゃいました」。そう振り返った。4カ月前とほぼ同じことを話しているわけだが、今度は笑顔。言葉から受ける印象は180度、違った。

3カ月ほど仕事を離れ、復帰した松井はどこか初々しく、ほほえましい姿を見せるようになった。9月の「SKE48リクエストアワー セットリストベスト100」のトーク場面では、緊張のためかどんどんステージの後ろに下がっていってしまい、後輩たちに突っ込まれる一幕もあった。

取材には、松井玲奈の卒業シングル「前のめり」の衣装を着て現れた。「<歌詞>歩いてもいいんだと 大人たちは言うけれど 前のめりに地を蹴る」という歌詞にかけたのだという。以前は「前のめりに地を蹴る」松井だったが、今は「『歩いてもいいんだ』という考え方に変わったんです」という。濃厚すぎる10年の芸能生活を送ってきたが、まだ21歳。これからは、心の余裕と負けん気のバランスが取れた、「大人の松井珠理奈」を見せてくれそうだ。