瀬戸内7県を拠点に活動するSTU48の船上劇場が完成し16日、専用劇場を収容した「STU48号」が広島港でお披露目された。同船上で初日公演も上演した。

結成から2年、延期を繰り返していた船上劇場のオープンをようやく迎え、新たなスタートを切った。

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初日公演に先立ち、メンバーを乗せたSTU48号が、広島国際フェリーポートに入港した。全長77・8メートル、幅12・5メートル、857トン。貨客船を改造した大きな船が岸に着くと、関係者からも「おお~」と歓声があがった。

国内AKB48グループ6番目の劇場、しかも前代未聞の船上劇場のお披露目だ。キャプテン岡田奈々(21)は「STU48の新しい歴史の幕開け。48グループの歴史に刻まれる日だと思います。ここから新しいスタート切って、みんなと一緒に全力で頑張っていきたいです」と誓った。

待ちに待った就航だ。STU48は、16年10月に結成と船上劇場のコンセプトが発表され、翌17年3月に誕生した。だが、劇場建造計画の遅延や昨年の西日本豪雨などのため、就航を2度延期していた。岡田は「この船をずっとずっと待ち続けました。困難はあったんですけど、待っている間にファンの方々やメンバーとの絆が深まりました」。センター瀧野由美子(21)も「待った分、かけがえのない宝物をたくさんいただきました。待つこともいいことだなと思いました」と前向きに話した。

公演では、「フライングゲット」などAKB48の代表曲や、「島唄」など海にちなんだ名曲も披露。リハーサルで船酔いしたメンバーもおり、劇場内にはエチケット袋や、救命胴衣が備えられた。公演名は「GO!GO! little SEABIRDS!!(行け行け、小さな海鳥たち)」。構成・演出を手がけた今村ねずみ氏は「海を選んだ少女たちが羽ばたいていってほしい」と話した

STU48号は、広島港を母港としながら、今後は瀬戸内7県の港を訪れて公演を開催する予定という。瀧野は「絶対に『後悔』させない『航海』にします!」とアピール。異例の船上劇場から、若き海鳥たちが飛躍する。【横山慧】

◆STU48(エスティーユーフォーティーエイト) 16年10月「AKB48グループじゃんけん大会」で結成を発表。翌17年3月に結成。同年9月から瀬戸内7県をまわる初のライブツアーを開催。昨年1月にシングル「暗闇」でメジャーデビュー。同年の日本レコード大賞新人賞を受賞。今年2月に2枚目シングル「風を待つ」リリース。現在のメンバーは31人。

◆STU48号 長崎・壱岐と福岡・博多間を運航していた「壱岐・対馬フェリー」の貨客船「みかさ」を改造し、船上劇場を建造した。壱岐商業開発株式会社が所有しており、株式会社STU48などがチャーターしている。劇場は約300人収容、船員14人で運航している。公演開催期間以外は母港の広島港に停泊。瀬戸内以外にも移動は可能。基本的には停泊中に公演を上演する。