邦画の実写作品として年間興行成績1位となった前作から3年、文字通り待望の続編となる「キングダム2 遥かなる大地へ」が15日公開される。

原泰久さんの原作は、単行本として現在62巻を数えて進行中だ。2で描かれるのはこの5~7巻の部分となる。中国史上初めて天下統一を果たす秦の始皇帝・政(吉沢亮)とそれを支えた武将・信(山崎賢人)の壮大な物語はまだまだ序盤である。

紀元前の春秋戦国時代、西方の国、秦で政が王座奪還を果たしてから半年、隣国・魏の大軍が国境を越えて侵攻してくる。前作で大活躍した信だが、本格的な戦は実はこれが初陣となる。一歩兵として秦軍に加わり、決戦の地、蛇甘平原に向かう。

今回も大暴れする信に伍(ご)して、最注目のキャラが秦軍の末端歩兵ユニット伍(5人組)のメンバーとして信と苦楽を共にする羌■(清野菜名)と、彼らが配属された部隊の将軍、縛虎申(渋川清彦)だ。

羌■には悲しい生い立ちがあり、それがこの戦に加わった動機となり、圧倒的な戦闘スキルの源となっている。清野は歯を食いしばった表情や、長めの袖をきれいにそよがせるしなやかな動きで原作のイメージを体現する。特撮技術と相まって、この人の高い身体スキルが生かされている。

戦の犠牲とは何か。戦況の境目はどこにあるのか。大戦の機微を信に背中で見せる縛虎申を渋川がていねいにメリハリを効かせて演じている。多くの作品で絶妙なアクセントとなってきたこの人が、いつもより大きく見えるのは、役の大きさだけではないだろう。

終盤まではこの2人が物語を引っ張る。が、最終盤にまたまた大輝将軍(大沢たかお)が登場して、おいしいところを持っていく。前作同様これぞ「キングダム」という見せ方を佐藤信介監督は心得ている。

両軍の将(豊川悦司、小沢征悦)の一騎打ちで幕を閉じる蛇甘平原の戦いには有無を言わせないスケール感がある。魏軍戦車隊の地響き、騎馬のスピード…壮大な原作から逃げずに、気持ちいいほど真正面から取り組んでいる。

どこまで続くのか。取りあえず第3作へつながったことは間違いなさそうだ。

※■はマダレに鬼

【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)