「国際市場で逢いましょう」「ソウルの春」…作品ごとにいろんな顔を見せてくれる韓国のファン・ジョンミン(54)だが、「ベテラン」で演じた人間くさいドチョル刑事は、体を張ったアクションシーンとともに忘れられない役柄だ。
その9年ぶりの続編が「ベテラン 凶悪犯罪捜査班」(4月11日公開)だ。
前作も改めて見直したのだが、文字通り息つく間もない展開を堪能した。権力構造にガチガチに守られた財閥御曹司の犯罪をベテラン刑事ならではの手法で切り崩し、追い詰める。街並みを破壊するようなカーアクションやドチョル刑事自身ズタボロになりながら御曹司に手錠をかける瞬間の爽快感…有能だが、決して「超人」ではない刑事のキャラクターが魅力的だ。
その前作で解体直前にまで追い詰められた捜査班は健在だ。チーム長のオ・ダルス、紅一点のチャン・ユンジュら前作同様の個性的なメンバーが顔をそろえている。そこに加わるのがドチョルに憧れる若手警察官のパク・ソヌ(チョン・ヘイン)。ドチョル以上のスキルを秘めた彼の存在が今作のカギとなる。
好調な捜査班は手柄を挙げ続けているが、一方で司法の穴を抜け出た凶悪犯罪者も少なくない。そんな犯罪者に私刑を加える「ヒーロー」が現れる。SNS上では正義を象徴する伝説の生きものになぞらえて「ヘチ」と呼ばれ、世論は警察のふがいなさをたたきながら、彼を正義のヒーローとたたえるようになる。「ダーティハリー」の第2作(73年)をほうふつとさせる展開だ。
前作に続いてメガホンを取ったリュ・スンワン監督は、比較的早い段階で「真相」を匂わせながら、その後のドチョルVSヘチの心理戦で魅せる。強敵ヘチに今回も気力、知力、体力をフル回転させて立ち向かうドチェルの人間くさい闘いが見どころだ。
前回凶悪犯罪に加担しながら、裁判では微罪で裁かれ釈放されたチョン・ソグ所長(チョン・マンシク)がヘチの標的となり、ドチョルの捜査班が不本意ながらガードする設定などは、第1作を知れば、より楽しめるポイントだ。
ハリウッド映画で見たような設定も少なくないが、ドチョルを極限まで追い詰める大道具、小道具に工夫が凝らされ、スンワン監督は最後まで先を読ませない。そして主演ジョンミンの魅力、実力を嫌というほど見せつける。
エンドロールの後に次回作を匂わせるシーンがあるので、くれぐれも席を立たないように。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)




