ちまたに溢れるいろんなダイエット…「朝なら甘いものを食べても太らない」、あるいは正反対の「朝ご飯を抜いた方が痩せる」…これ、どちらもウソ! 正解は「朝食こそ糖質に気をつけるべき」、そして「朝食を抜いてはダメ」。それはなぜか、詳しくご説明します!

シャトレーゼの糖質カットスイーツ『糖質86%カットのショートケーキ』を食べる五戸美樹。とても美味しくて、糖質量がなんと4.8g(エリスリトール、マルチトールを除く)。最近のお気に入りです(2017年7月)
シャトレーゼの糖質カットスイーツ『糖質86%カットのショートケーキ』を食べる五戸美樹。とても美味しくて、糖質量がなんと4.8g(エリスリトール、マルチトールを除く)。最近のお気に入りです(2017年7月)

ダイエット編16「朝ご飯と血糖値の関係」

 ダイエットとは「食後の血糖値を上げないようにすること」というのは第5回(4月27日更新)で書いた通りですが、食後の血糖値が最も上がりやすいのは、朝食・昼食・夕食のうちのどれでしょうか? 「夜が1番太る」と思われがちなので、「夕食」と答える方が多いかと思いますが、正解は「朝食」なんです。

朝は血糖値が上がりやすい。ではなぜ?

 それは、「ステロイドホルモン」や、アドレナリンなどの「カテコラミン」という血糖値を上げるホルモンの分泌濃度が高まるのが、朝の時間帯だからです。「暁現象(あかつきげんしょう)」をご存知でしょうか? 暁、つまり夜明けの時間帯、何も食べていなくても血糖値が上昇する人がいて、その現象のことをいいます。そのくらい、朝は血糖値が上がりやすいということです。

山田悟先生を取材。その後記念撮影
山田悟先生を取材。その後記念撮影

ですから、朝こそ気をつけて

 糖質制限の食事法を世界で初めて実践した、アメリカ人医師のバーンスタイン先生は、昼食・夕食に比べて、朝食はさらに糖質を半分にすべきと説きました。

 ちなみに私が実践している、ゆるやかな糖質制限「ロカボ」(注1)の食事法だと、朝も糖質40gまでは摂取できます。これは、ロカボとバーンスタイン先生のどちらが正解かという話ではなく、それほど気をつけるべきは朝食だということです。なお基本的にはロカボの範囲内の糖質摂取なら問題ありません。

ですが、朝食抜きもNGなんです

 そして、「朝食を抜いてはダメ」について。3つのパターンの、血糖値の上下動を比較した研究を見ていきましょう。3食食べるグループ、朝食を抜くグループ、朝食と昼食を抜くグループ、というグループ分けをして研究が行われました。(2008年、学会誌「ダイアビーティーズ」より)

ロカボ商品なら朝もこんなに食べられます。上から時計回りに、グリコ「アーモンド効果200ml」、明治「明治ロカボーノ カスタードプリン」、ローソン「からあげクン」と「チーズとハムのロール」、カルビー「フルグラ糖質25%オフ」(2017年6月)
ロカボ商品なら朝もこんなに食べられます。上から時計回りに、グリコ「アーモンド効果200ml」、明治「明治ロカボーノ カスタードプリン」、ローソン「からあげクン」と「チーズとハムのロール」、カルビー「フルグラ糖質25%オフ」(2017年6月)
ローソン「ブラン入り食パン」を使った、五戸家の朝ご飯(2017年7月)
ローソン「ブラン入り食パン」を使った、五戸家の朝ご飯(2017年7月)

食事抜くと次の食事で血糖値上昇

 最も血糖値が安定していたのは3食食べたグループでした。朝食抜きのグループは、昼食の後の血糖値が急激に上昇してしまいました。また、朝食と昼食を抜いたグループは、夕食の後の血糖値が急激に上昇していたんです。つまり、3食のうちのどこかを抜くと、その次の食事で血糖値が上がりやすくなってしまう、ということです。

 朝食を抜くのは絶対にやめたほうがいい、それでいて朝食は最も糖質量を気をつけたほうがいい、という結論になります。(次回ダイエット編は第17回「血糖値スパイク」の予定です)


【五戸美樹】(日刊スポーツ・コム芸能コラム「第48回・元ニッポン放送アナウンサー五戸美樹のごのへのごろく」)

本日のごのへの・ご・ろ・く

「抜かないで でも気をつけるべし 朝ご飯」


 注1)「ロカボ」は、“ローカーボハイドレート”の略で、“ロー(低い)+カーボハイドレート(糖質)”のこと。1食の糖質摂取を20g~40g、1日70g~130gにする、ゆるやかな糖質制限。目安はコンビニのおにぎり1個で糖質40g。

 【参考図書】山田悟先生の著書『ロカボで食べるとやせていく』(幻冬舎)。山田先生監修『世にも美味しい「ゆるやかな糖質制限ダイエット」』(世界文化社)。山田先生の新著書『90日で健康的にやせる! ゆるやかな糖質制限ダイアリー』(家の光協会)、『カロリー制限の大罪』(幻冬舎新書)。

 ◆山田悟(やまだ・さとる) 1970年、東京生まれ。1994年慶應義塾大学医学部卒業。2002年から北里大学北里研究所病院勤務。同病院医療連携室室長、糖尿病センター長、医学博士。一般社団法人「食・楽・健康協会」を設立、代表理事を務める。日本における糖質制限の第一人者。「ロカボ」の名付け親。「糖質制限の真実」(幻冬舎)をはじめたくさんの書籍を出版、メディアにも数多く登場。