落語好きの小泉進次郎氏ら自民党国会議員による「落語を楽しみ、学ぶ国会議員の会」(落語議連)の設立総会が先日、行われ、5人の落語家が招かれた。落語協会から柳家さん喬、落語芸術協会から春風亭昇太、五代目円楽一門会から三遊亭円楽、立川流から立川談四楼、上方落語協会から桂米団治と、「越党派」の人気・実力派が揃った。

4年前にいち早く「歌舞伎議連」が発足しているが、これまで落語議連が発足しなかった理由として、落語の「落」が議員にとっては最も嫌な言葉「落選」を連想させるためと言われる。設立総会では5人の落語家があいさつしたが、個性の違いもあって、どれも面白い。さん喬は「噺家が先生方と利害関係を持ってはいけないと心に決めている。利害があると笑いがなくなるから。あの先生に頼めば何とかなるだろうとか、そういうことは一切考えてません。でも、ちょっとぐらいは考えてるかな」と真面目なさん喬らしく話せば、昇太は「朝からたくさんの皆さんに集まっていただき、ありがたい。何しろ、朝起きると必ず1人なもんで。なごやかに笑っていただき、ストレス解消してくれれば」と、鉄板の独身ネタで笑いを誘った。

師匠の立川談志が参院議員時代、議員会館によく通っていた談四楼は「受付で、訪れる目的を書く欄があって、稽古と書いたら、名前も立川寸志だったから怪しまれて、陳情と直した」と思い出話を披露。自身のツイッターでは安倍首相や麻生財務相らを批判している談四楼だが、「野党には評判がいいんです。でも、(議連メンバーが)自民党だけだと、野党からスパイ扱いを受ける可能性があるので、超党派でやってほしい」。

「笑点」などで政治については辛口コメントをすることが多い円楽は「落語は、1人でいろんな人間を描きながら、悪いことをしたら大家さんにしかられ、困った人がいたら助ける。今、日本になくなった部分が落語にはまだ残ってる。政治に生かせとは言わないが、教育に少し生かしてほしい」と要望。上方から唯一参加した米団治は「上方は今、東京に吸収されて、アイデンティティーを持っているのは落語と宝塚歌劇ぐらい。その良さを発信したい」と話した。

一方、会長を予定されている遠藤利明元五輪担当相も笑いで返した。「2回、落ち(落選)を経験してるし、これ以上落ちないだろうと、会長にさせていただくのではないか」。プライベートでも寄席に通う進次郎氏も「心がささくれ立っても、落語を聴くと、世の中の何でも許せてしまう」。12月に都内の寄席を訪れる予定で、今後は野党議員にも参加を呼びかけるという。【林尚之】