もう2週間ほど前の話になるが、新宿駅東口を出てすぐ、「靖国通り」を渡ればすぐ歌舞伎町エリア、「新宿大ガード」の真ん前…というまさに「新宿のど真ん中」にある巨大ビルで営業していた家電量販店最大手「ヤマダ電機」の「LABI新宿東口館」が10月4日に閉店してしまった。約10年の歴史に幕を下ろした格好。

昨日、雨が降っていなかったため、金曜夜の新宿の人出などを取材しようと電動自転車による「歌舞伎町パトロール」をソーシャルディスタンスに気をつけつつ軽く行ったのだが、大ガードあたりからの見慣れた風景だった「LABI」という大きな看板がなくなっていたのには、どこか寂しさを感じた。

ヤマダ電機の発表によると、同社グループ会社の「大塚家具」新宿ショールームにおいて最近、家電製品を本格導入しており、「新宿エリア内の店舗配置の自社競合関係から店舗効率化を図るため」という理由で、LABI新宿東口館の閉店を決めたという。ちなみに現在、閉店した跡地では、年末までの予定で大塚家具の展示品&在庫品の大処分市が行われている。

今月4日に閉店したヤマダ電機「LABI新宿東口館」が入っていた大型ビル。同店5階自転車売り場で電動自転車を買い換えようと思っていたのだがかなわぬことに。よってヨドバシカメラ新宿西口本店かビックカメラ新宿西口店が有力購入先候補として急浮上
今月4日に閉店したヤマダ電機「LABI新宿東口館」が入っていた大型ビル。同店5階自転車売り場で電動自転車を買い換えようと思っていたのだがかなわぬことに。よってヨドバシカメラ新宿西口本店かビックカメラ新宿西口店が有力購入先候補として急浮上

新宿地区では近年、複数の大型店が競い「家電量販店バトル」ともいえる状況が続いている。家電店めぐりをささやかな楽しみの1つとしている筆者もコロナ禍前はしばしばほぼ丸1日かけて、新宿東口エリアでまず「ビックロ(ビックカメラ新宿東口店)」→「ビックカメラ新宿東口駅前店」→「ヨドバシカメラマルチメディア新宿東口」→「ヤマダ電機LABI新宿東口館」と移動し、次に新宿西口エリアに行き「ヨドバシカメラ新宿西口本店(マルチメディア館、カメラ館、携帯スマートフォン館、ゲーム館、時計総合館など複数の館に分かれており、そのすべて)」→「ヤマダ電機LABI新宿西口館」→「ビックカメラ新宿西口店」と回って各店ほぼ全フロアを歩いて家電最新製品をチェックしたり購入するなどしており、中でも個人的には、広々として開放感がある店内レイアウトのヤマダ電機はお気に入りだっただけに、閉店は残念。実際に筆者自身、LABI新宿東口館では最近だけでも、テレビや掃除機、毛玉取り機などを購入している。

このLABI新宿東口館は2010年4月16日にオープン。新宿はヨドバシカメラが長年本拠地とし、当時もビックカメラが東口&西口で地盤を固めていた。しかも同年2月には、「安さ爆発みんなのさくらや」のCMで知られた「さくらや」が業績低迷などで新宿店を含め全店閉鎖したばかりというタイミングでの、ヤマダ電機(本社・群馬県高崎市)の“新宿初進出”となり、筆者も当時、ヤマダ電機などに取材し「新宿家電戦争ヒートアップ」などという特集記事を社会面で書いたりした。

今回のLABI新宿東口館の閉店は、大塚家具との自社競合関係による店舗効率化が理由だと発表されており、コロナ禍との直接的関連は不明。実際、ヤマダ電機そのものは、コロナ禍における家電需要の高まりなどもあり、4~6月期決算の純利益が前年同期比238・9%増と好調のようだ。

ただ今春以降、LABI新宿東口館の至近エリアである歌舞伎町周辺からはコロナの影響で人が減っており、同店単体では客足にも影響が出た時期があったことも推察される。

コロナ禍で、新宿エリアでも飲食店を含めさまざまな業種の店が閉店に追い込まれており、例えば当日誌で18年11月に記したことがある「中国ラーメン揚州商人」歌舞伎町店も、開店約1年半後となる今年4月中旬、営業を終えている。また、前回の当日誌で大久保店閉店情報を書いた印象的な店名の薬局「ドラッグの王国」の歌舞伎町店も、すでに看板がなくなっており、店を閉じていたようだ。

旧LABI新宿東口館すぐ近くの歌舞伎町「セントラルロード」。金曜夜の人出がコロナ禍前のレベルまで完全に戻るのはいつになるのか
旧LABI新宿東口館すぐ近くの歌舞伎町「セントラルロード」。金曜夜の人出がコロナ禍前のレベルまで完全に戻るのはいつになるのか
新宿駅側(前の写真と逆側)から見た、金曜夜の歌舞伎町「セントラルロード」
新宿駅側(前の写真と逆側)から見た、金曜夜の歌舞伎町「セントラルロード」

さて今後、ヤマダ電機は新宿エリアにおいて「LABI新宿西口館」1店になるだけに、新宿家電量販店競争の勢力図が今後どう変わっていくのかも、注目したい。また個人的にはこの半年、まったくといっていいほど遠出をしていないが、いつかかつてのように「ケーズデンキ」など郊外型量販店めぐりも再開したいものだ。

【文化社会部・Hデスク】