初期の肺腺がんを5月に公表後、治療のため療養していた中村獅童(44)が28日、都内で11月の巡業公演「松竹大歌舞伎」制作発表に出席した。同公演で舞台復帰する。会見では沙織夫人(34)が妊娠5カ月であることも公表した。

 がん公表後、手術を受けて6月上旬に退院した。以来、療養を続けており、久しぶりの公の場。顔色も良く、会話すると出ていたせきも1週間前に治まった。「日課は散歩とジムのトレーニング。体調も7、8割戻った。(入院前より)体重も3キロ増えた」。

 沙織夫人への感謝も口にした。「彼女が精密検査を勧めてくれ、がんと分かった。僕1人だったら分からなかった」。医師に「ギリギリセーフだった」と言われた。「妻がそばにいてくれて感謝です。全て彼女のおかげです」。無農薬野菜の料理や手作りのニンジンジュースを毎日2リットル飲んでいる。「明るい性格でおかげで療養中も落ち込まずに明るくいられた」。

 沙織夫人の妊娠を知ったのは、がん判明の直前だった。「3日前くらいに妊娠が分かった。良かった、良かったと喜んでいた時にがんと知って。新しい命にたくさんの勇気をもらいました。何としても健康になって、長生きしたいと思いました」。性別はあえて聞いていない。「どちらでも元気で生まれてくれれば。自分がこういう時期に誕生してくれるわけだから感慨深いです」。都内の実家跡地に新居を建築中で、来年暮れに完成予定という。

 今月末から映像やバンド、トークショーなど単発の仕事は始めるが、本格復帰は「松竹大歌舞伎」(11月1~26日)となる。「義経千本桜 すし屋」の大役、いがみの権太に初挑戦する。「全てに感謝の気持ちを忘れずにいたい。完全復活して今まで以上に元気な舞台で恩返ししたい」と力強く話した。【林尚之】