役所広司(61)主演のTBS系日曜劇場「陸王」(日曜午後9時)が24日、最終回を迎える。ニッカンスポーツコムの「陸王」振り返り特集・第3回は7話から9話をおさらいする。(かっこ内の%は視聴率)

 ◆7話(3日放送、14・7%)「こはぜ屋」は、陸王のアッパー素材の供給を受けていたタチバナラッセルとの取引が大手のアトランティスの妨害で白紙になる。4代目社長・宮沢紘一(役所広司)の息子大地(山崎賢人)は新素材探しに動きだすが、追い打ちをかけるように開発顧問の飯山晴之(寺尾聡)が特許を持つソールの新素材シルクレイの製造機が火を噴き、故障。開発再開に1億円の設備投資が必要となり赤字に転落する。

 宮沢は、陸王をダイワ食品陸上競技部の茂木裕人(竹内涼真)に橋渡しし開発のアドバイザーも務めるシューフィッターの村野尊彦(市川右団次)に説明したが、聞き入れられずたもとを分かつ。さらに飯山には、世界的なアウトドアメーカーのフェリックスが、シルクレイの独占使用契約を持ち掛けてくる。

 そんな中、宮沢は埼玉中央銀行を辞めた以前の融資担当・坂本太郎(風間俊介)から投資会社に行くと告げられ、力を貸して欲しいと依頼。陸王開発へ望みをつなぐが、坂本が持ってきたのはフェリックスからの買収話だった。

 名ぜりふ 

 <宮沢紘一>「やるだけやって、それでも、どうしても駄目だった時は、自分の意思でちゃんと決断して諦めたい。悔いの残らない諦め方をしたいと思う。だから、もう少しだけ悪あがきさせてくれ」

 <宮沢茜>「きっとお兄ちゃんは、お父さんが陸王を諦めないって信じているんだよ」

 <村野尊彦>「あいつらは命をかけて走っているんですよ。生きるか死ぬかの戦いをしているんだ。そういう彼らと付き合っていくためには、我々だって命をかけるくらいの覚悟が必要なんだ!」

 <富島玄三>「うちの社員たちの人生だって、かかっているんだ!」

 <家永亨>「銀行には『貸すも親切、貸さぬも親切』という言葉があるんですよ」

 <城戸明宏>「お前を証明するのは、ただ、お前の走りだけだ。だから死ぬ気で走れ」

 ◆8話(10日放送、17・5%)宮沢は坂本からの買収話に激怒し断固、拒否する。

 茂木は豊橋国際マラソンへの出場を直訴したが、ダイワ食品が運動部の縮小に踏み切ると知り、宮沢からもサポートが厳しいと打ち明けられた。その中、市販のランニングシューズを履き、前哨戦のディスタンスチャレンジに出場するが敗れる。そこでアトランティスから、陸上部に支援をすると言われて心が揺れる。

 宮沢は危機の中“チーム陸王”で行田市民駅伝に出場し、坂本から飯山が陸王を作るためにフェリックスからの独占使用契約を断ったと聞き、フェリックス社長の御園丈治(松岡修造)との対面に臨む。社長の続投、足袋製造の継続、屋号を残すことを認め、買収に応じるなら3億円を出資すると言われ、前向きに進めたいと約束する。

 名ぜりふ

 <宮沢紘一>「楽しかった。不思議だよな…ただ走っているだけなのに、いい年をしたおっさんが、こんな幸せな気分になれるんだから。やっぱり…このまま陸王を終わらせたくない」

 <茂木裕人>「豊橋に行きます。あのレースをケガで途中棄権した時から、俺の時間は止まっているんです。だから、あそこでゴールテープを切るまでは、いつまでも前へ進めない」

 「俺はこはぜ屋さんにはつぶれて欲しくありません。いつまで現役で走れるかどうか分かりませんけど、またいつか、社長の作ったシューズを履ける日を、僕は楽しみにしています」

 ◆9話(17日放送、15・7%)宮沢は買収話を社員に告げるが、古株の正岡あけみ(阿川佐和子)らから猛反発され、残業を拒否される。その中、御園の人柄を知ろうと再度会い、御園が米国で大手から独立したが失敗したこと、妻を亡くしたハリケーンを社名にして成功した話を聞く。

 茂木はアトランティスが陸上部を支援するという言葉に、再び同社のR2を履くことを決意。東日本チャンピオンズカップで優勝したが、アトランティスの小原賢治(ピエール瀧)から惨敗すると豊橋国際マラソンの出場を止められ激怒。ライバルのアジア工業・毛塚直之(佐野岳)を意識するあまり自らを見失い、城戸明宏監督(音尾琢真)にゲキを飛ばされ目を覚ます。

 大地は、そんな茂木に新型の陸王を届けたい一心で粘り強くアッパー素材探しを続け、タテヤマ織物の社長・檜山和人(斉木しげる)から素材提供の約束を取り付ける。その努力にこはぜ屋の社員の心は1つになり、村野も駆け付け、最軽量148グラムの5代目陸王を完成させる。

 宮沢は飯山からのアドバイスを元に、御園にシルクレイを供給する業務提携を逆提案する。その際、合併でフェリックスを大きくしてきた御園が、買収した一部の会社をつぶしてきた経歴を指摘。御園には、小原からシルクレイの提供を持ち掛けられ、笑みを浮かべるなどビジネスライクな一面があった。御園から交渉打ち切りを宣言された宮沢は、シルクレイを他の企業に提供すると突きつける。

 名ぜりふ

 <宮沢紘一>「たかが足袋ですが、100年作り続けてきた。こはぜ屋ののれんは、そんなに軽いもんじゃない」

 「値段の付かないものにも、価値はあるんです。こはぜ屋100年ののれんに、値段を付けることなんて出来ません」

 <御園丈治>「順風満帆な人生なんて、ありませんよ。だけど私には、全てを失った経験がある。絶望を知っていることが、私の最大の強みなんです」

 「フェリックスは、妻の命を奪ったハリケーンの名前です。壁にぶつかった時、フェリックスという名は、運命に挑戦し勝ち抜くための、何か怒りのようなものをかき立ててくれる…それが私の原動力です」

 <正岡あけみ>「出戻り娘みたいで笑っちゃうよね。でも、その時、分かったんだ。私にとって、このこはぜ屋が第2の家なんだって。だから、そういう家が、あんな大手の会社みたいになっちゃうと思うと…怖いんだよ」

 <宮沢大地>「実績や規模では、今はかないませんが、決して品質やコンセプトでは負けてないと自負しています。いつか必ず、世界一のシューズにするつもりです」

 「俺に…みんなの力、貸して欲しいんです。陸王を作りたい。(中略)これで新しい陸王を作って、茂木に届けたいんだ」

 「ただ持っていてくれるだけでもいい。サポート出来なくても、こはぜ屋は茂木を応援しているって伝えたい。もし、これが最後の陸王になったとしても…無駄なことかも知れないけれど、無意味なことじゃない。作らせて下さい。お願いします」

 <城戸明宏>「お前、何のために走っているんだ? 毛塚に勝つためか? お前のマラソンのゴールは、もっと先にあるんじゃないのか? まず、お前が勝たなきゃならないのは、自分自身だ。それが出来た時、初めて毛塚を超えられる」