元光GENJIで俳優の大沢樹生(49)が昨年12月30日、プロレスデビューを果たした。

大沢は50歳の節目を前に、子どものころからの夢だった「プロレスラーになること」に挑戦した。公開練習を取材させていただいた時、同じ年の私としては“心揺さぶられるもの”があった。公開練習を取材した以上、本戦も目に焼き付けたい。そんな思いから会場に足を運んだ。

試合は船木誠勝・服部健太とタッグを組み、高岩竜一・佐藤光留・NOSAWA論外との6人タッグマッチ30分1本勝負で行われた。試合では、持ち前のエンターテイナー性を発揮した。入場からたっぷり時間を使い、リングの周りを闊歩(かっぽ)し、相手も挑発した。試合後に船木は、「デビュー戦であれだけ時間を使えるのはさすがだ」と話していた。

大沢の出番は約10分だったが、試合自体が約17分だったことを考えれば、十分な活躍といえるだろう。明らかに体格で劣る大沢の奮闘ぶりには、ありきたりの言い方になるが、感動した。論外にはチョップや蹴りを浴び、高岩には顔を足で踏みつけられ、場外乱闘では鉄柱攻撃を2度もくらった。それでも、体重62kgの大沢が88kgの論外を投げ飛ばし、高岩には飛びつき腕十字をかけた。試合は船木が佐藤をブレーンバスターでしとめたが、その横で大沢は論外にコブラツイストを決めアシストした。

アントニオ猪木、ジャイアント馬場で育った私の目には、49歳での挑戦としては十分すぎる戦いっぷりに映った。さらに試合終了後の会見前、関係者が大沢のあばら骨2本の骨折を明かした。これには、正直驚いた。それで論外のチョップを受けていたとは…。大沢にプロレスを指導した服部が目にうっすら涙を浮かべながら(少なくとも私にはそう見えた)「コンディションの悪い中、よく戦った」と話すと、大沢は「いいって」と制した。大沢はあくまでも骨折を隠そうとしていたのだ。練習中に負傷したが、最後まで言い訳にしなかった。その潔さにも同じ年の男として、心揺さぶられた。

大沢は試合終了後のマイクパフォーマンスで、「これで芸能界に戻れます」と話した。だが、個人的にはコンディションが万全な状態で、もう1度だけリングに上がってほしいとさえ思った。

なお、リングパンツ右太ももあたりの星のマークにはKOJI、KAZU、HIRO、JUN、AKIRA、ATSUと、かつての盟友光GENJIメンバーの名前がひそかに記されていた。