昨年7月に都内の自宅で、派遣型マッサージ店の女性従業員に乱暴したとして強制性交罪で逮捕された俳優新井浩文(本名・朴慶培)被告(40)の初公判が2日、東京地裁で開かれた。

裁判では、別室にいる被害者のAさんが、モニターで声のみで検察、弁護側の質問に答える形で進行した。

弁護側はまず新井被告がアロママッサージを好んで頻繁に利用していたこと、一般的に紙パンツを履いただけの格好で肌と肌が触れあう中で性的な気分を催すことは珍しくないことを話した。

性交後に「もう1度呼んでもいい?」「どこに住んでいるの?」などと会話をしていたことなどから、同意があり強制性交罪は成立しないと主張。新井被告が以前にもアロママッサージを受ける中で性交に及んだことがあり、相手がのってくることもあったと話した。

弁護側のAさんへの質問では事件を通してけがや脅しの言葉がなかったこと、性交後にもいくつか会話を交わしたことを確認した。さらに8月28日に提出した被害届、同年11月10日に作成された警察の調書に、陰茎の挿入を拒否した記載がないことや、胸をなめられた時にAさんが新井被告の上に乗っていたという証言について質問したが、Aさんは「あまり覚えていません」などと答えることも多く、事件時の記憶があいまいになっているようだ。

検察側は同意なく性交を強いられたと主張。Aさんも新井被告に手を捕まれて陰茎に押しつけられたり、胸をなめられたり、両手で頭を抑えられて口を股間に持って行かれたり、陰部を手で触られたりした後、陰茎を陰部に挿入され、腹部の上に射精されことを生々しく証言。「ダメですよ。そういうお店ではありません。帰りますよ」と当初から拒否したと語った。

また、電気が消えていて暗闇の中で逃げられなかったことや体格差があり、逃げられなかったことを明らかにし、陰茎を挿入されそうになると「入れないで」と言い、膝を閉じるなど抵抗したことも話した。弁護側から被害弁償金として1000万円を提示したことについて聞かれると「拒否しました」。その後2000万円を提示されたが拒否し示談が不成立になったことも明らかになった。

Aさんは新井被告について「刑務所に入って反省して欲しい」と語った。

◆新井浩文(あらい・ひろふみ)1979年(昭54)1月18日、青森県生まれ。01年に映画「GO」で俳優デビュー。05年に映画「ゲルマニウムの夜」で単独初主演のほか、「松ケ根乱射事件」「赤い季節」などで主演。ほか「宇宙兄弟」「アウトレイジ ビヨンド」「寄生獣」「銀魂」など出演多数。「百円の恋」で16年3月に日本アカデミー賞優秀助演男優賞受賞。連ドラは13年NHK「書店員ミチルの身の上話」のほか、「下町ロケット」「真田丸」「就活家族~きっと、うまくいく~」「フランケンシュタインの恋」など数多く出演。血液型A。

◆強制性交等罪(きょうせいせいこうとうざい) 刑法第177条。男性が加害者、女性が被害者という前提の「強姦(ごうかん)罪」の名称と内容が改正され、17年7月に施行。13歳以上の者に対し、暴行または脅迫を用いて性交、肛門性交または口腔(こうくう)性交をする強制性交等の罪。5年以上の有期懲役に処せられる。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とされる。強姦罪と比べ、男性に対する行為や、口腔性交なども対象となり、罰則が厳しくなるなどが変更点。