第45回菊田一夫演劇賞の演劇大賞に堂本光一(41)が選ばれたことが27日、発表された。00年の初演以来、20年にわたり「SHOCK」シリーズをけん引してきた功績に対して、受賞が決まった。

07年にも「SHOCK」スタッフ・出演者一同が大賞に選ばれたが、今回は光一が最年少の大賞受賞者となった。光一は「今回の受賞も劇場に足を運んでくださる多くのお客様のお陰はもちろんのこと、共演者や陰ながら支えてくれるスタッフなしでは20年という年月を続けることは到底できません」と感謝した。

00年の初演以来、演出・プロデューサーとして支えたジャニー喜多川さんが昨年7月に亡くなり、今回は単独で挑む公演だったが、新型コロナウイルスの影響で、途中の2月28日以降、3月31日の千秋楽まで公演が中止となった。「このような時にエンターテインメントで何ができるか模索する日々です。まさにこの瞬間にも医療関係者の方々、我々の生活を支えるために仕事に出られている方々、現場の最前線でわが身を挺して従事して下さっています。感謝の気持ちを忘れずに、そして皆様が心からエンターテインメントを楽しんでいただける日常が一日でも早く戻ってくることを心から願っております」とコメントを寄せた。

演劇賞は「海辺のカフカ」「終夜」の岡本健一(50)、「ビッグ・フィッシュ」の川平慈英(57)、「天保十二年のシェイクスピア」の高橋一生(39)、「リトル・ウィメン」などの朝夏まなと(35)、特別賞に宝塚歌劇団の演出家酒井澄夫氏が選ばれた。

千秋楽2日前に公演中止となった高橋は「作品公演前と、残すところあとわずかで幕を下ろすことになった公演後とでは、世界は大きく変わってしまいました。頂いた評価は自分という個人のみではなく、娯楽を見て感じてくださる方たちはもちろん、娯楽を作る側の人間、ひいては娯楽そのものへの希望ととらえたいと思います」とコメントしている。

○…岡本健一は村上春樹原作、蜷川幸雄演出「海辺のカフカ」、上演時間4時間を超える「終夜」の演技が高く評価された。「演劇に対する私のこれからの行動が、今まで以上に大切なのだと受け止めています。私は生きている限り『劇場』という果てしなく自由で特別な場所で、誇れる作品をお客様に届け続けることを、誓います。心から感謝します」と受賞を喜んだ。

◆菊田一夫演劇賞 舞台で優れた業績を示した人などに授与される演劇賞で、1975年(昭50)に「君の名は」「放浪記」などで知られる劇作家菊田一夫(きくた・かずお)さんの功績を記念して創設された。大賞は過去に森繁久弥さん、森光子さん、山田五十鈴さん、最近では大竹しのぶ、三谷幸喜さんらが受賞している。