行定勲監督(51)が、新型コロナウイルスの感染が拡大する中、完全リモートで製作した映画第2弾「いまだったら言える気がする」が17日、YouTubeで配信された。

同作には、中井貴一(58)、NHK連続テレビ小説「エール」に出演中の二階堂ふみ(25)、“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバー、アイナ・ジ・エンドが出演。中井演じる小説家と二階堂演じる女優が、オンライン会議システム「Zoom」を使って、互いの関係、その今後について探りながらの会話を続ける中、アイナ演じる小説家の娘が入り、関係性が一歩、前進する物語だ。

劇中では、女優が小説家に「行きたいんだけど…遠いんだもん。県、またいじゃうし」と、都道府県をまたいでの移動が出来ない、不自由な現状を描くシーンが登場。また女優が、準主役だった舞台が1カ月もけいこしたにも関わらず、本番前に流れてしまったことに「この先、私が、またお芝居できる場所って、あるのかな」と不安を吐露する場面も。ギャラも完全に出ないにも関わらず「製作側も、大変な損失の中で、無理して出してくれているの分かっているから、補償してくれなんて言えないよ」と納得するなど、芸能界の厳しい現状をリアルに描くシーンもあった。

行定監督は、政府が4月7日に7都府県に緊急事態宣言を発令し、同16日に全国に拡大したことで映画館の多くが休業に追い込まれる中、「落ち込んでも何も生み出せない。困難な状況だからこそ作品作りを諦めてはならない。エンターテインメントの力で社会に勇気と希望を示したい」と決意。制作会社ROBOTとタッグを組み、約45分の短編映画「きょうのできごと a day in the home」を企画した。同監督が「我々、映画人には何か出来ることがあるのではないか」と映画業界に訴えた声に賛同した、柄本佑、高良健吾、永山絢斗、MOROHAのアフロ、浅香航大、有村架純が出演を快諾。企画立ち上げから2週間弱という異例の早さで撮影、製作し、4月24日にYouTubeで公開。豪華メンバーの出演で話題を呼び、再生回数は17日現在、28万回に上っている。

「いまだったら言える気がする」も、行定監督の声がけに中井、二階堂、アイナやスタッフたちが賛同し、ボランティアで製作に協力した。脚本は「きょうのできごと-」に続き、行定監督と、同監督の04年「世界の中心で、愛をさけぶ」でも組んだ脚本家の伊藤ちひろ氏が担当した。

行定監督は、リモート短編映画2作ともに、本編の最後でメッセージを発信した。「きょうの-」では、感染拡大防止のための「いまは家にいてみんなで終息をめざそう」、その先の未来に向けて「1日も早く映画を観に行ける日が来ますように」と、映画と映画館に対する思いをつづった。

「いまだったら言える気がする」では「医療従事者やエッセンシャルワーカーの献身的な行動に敬意を示し、私たちは、これからの未来を私たちの手で守っていきましょう」と、感謝の気持ちを持ちながら、自覚しつつ生活することで日常を取り戻そうという、世の中により広く訴えかけるメッセージとなった。17日午後3時から生配信された初回は、2577人が視聴した。