三谷幸喜氏(58)作・演出、大泉洋(47)主演の舞台「大地(Social Distancing Version)」(8月8日まで)の公開プレスコールが1日、東京・渋谷パルコ劇場で行われた。

「大地」は架空の国を舞台に、演じることを禁じられて収容所に入った俳優たちを主人公にした作品。冒頭に説明役で登場した三谷氏は「今、演劇に携わる者は舞台ができなくて、苦労しているけれど、それと同じような設定で、演じることができない。台本を考えて書いたのは昨年なんですけど、何というか、先見の明に我ながら驚いています」と胸を張った。

「ソーシャル・ディスタンシング・ヴァージョン」と銘打ち、3密を避けて、舞台上のベッドのスペースも広めにとり、「換気がいいように壁もスケスケにしました」と説明。さらに大泉と竜星涼とのケンカ場面も枕を投げる設定に変更し「接近しないでどうやってケンカするのか。そこも見どころの1つです」。

「大地」は当初は6月20日の初日予定だったが、新型コロナの影響で10日も延期。完売したチケットを払い戻した上で再販売し、客席は定員の半分程度になった。三谷氏は「いつもの状態に戻りたいと思っていますが、僕らがまず先陣を切ることになりました」。1924年に新劇の草分けとして開場した築地小劇場を引き合いに、「そこでは開演前に銅鑼(どら)をならして幕が上がったそうです。今回、最初は銅鑼の音から始めます」。公演中止が相次いで苦境の演劇界の再出発の思いを込めて、劇場に銅鑼の音が鳴り響いた。