歌舞伎俳優坂東玉三郎(70)が、30日に再開するNHK大河「麒麟がくる」(日曜午後8時)でドラマ初出演することが14日、分かった。この日、NHKがドラマの後半戦「京~伏魔殿編」の出演者10人を発表。大河初出演の玉三郎が第106代の正親町(おおぎまち)天皇として登場し、陣内孝則(62)片岡鶴太郎(65)らも出演する。

正親町天皇は、京都に進出した織田信長と絶妙な距離を保ちながら、没落した朝廷の存続を図る高貴で美しい帝役となる。玉三郎は「大変恐れ多いことなのですが、『正親町天皇』を演じさせていただきます。大河ドラマの映像の中に出演させていただくのは初めてなので大変緊張しております。出演者の皆様は映像に慣れている方々なので、その中で私がどんな役作りができるのかと言うことを今考えている最中でございます。一生懸命務めさせていただきます」。人間国宝で歌舞伎女形の頂点に立つ玉三郎も初のドラマ挑戦に初々しいコメントを寄せた。

玉三郎は1957年の初舞台以来、映画出演も監督・主演した95年「天守物語」など6作だけで、ドラマ出演依頼を断って、舞台一筋だった。今回の出演に落合将チーフプロデューサーは「光秀や信長にとって雲の上の存在の美しき帝を、大河ドラマという初めてのステージで舞っていただく。どんな華麗な帝が現れるのか、今から楽しみでなりません」と期待。関係者によると、すでに収録に参加し、登場は秋以降という。

堺の豪商で茶人の今井宗久役の陣内は、初回放送を見て「『チクショウ!俺も参加したかったなあ』というのが正直な感想。その数日後に今井宗久の役でオファーがくるとはうれしい」。幕府の執務を仕切る摂津晴門役の片岡は「『麒麟がくる』の中でも、一番の悪役と聞いております。企てるたくらみの目をご覧ください」とコメントした。

 

○…「京~伏魔殿編」には春風亭小朝、駿河太郎、小籔千豊、手塚とおる、井本彩花、金井浩人、一ノ瀬颯も出演。大河初出演の小藪は「『麒麟がくる』と言われたときは、田村と川島がくるのかと思うくらいピンとこなかったです」と吉本のユーモアを交えてコメント。

新型コロナの感染拡大を受け、同作は6月7日放送の第21回を最後に中断。先月22日の放送総局長会見で今月30日からの再開を発表したが、全44回の予定で、再開しても例年通り年内終了はできない計算になる。放送が伸びれば、次作「青天を衝け」の開始も遅れることになる。話数調整など具体案は示されていないが、同会見で正籬放送総局長は「状況を見ながら検討していきたい」としている。

 

大河で歌舞伎俳優が演じた天皇役

▼72年「新・平家物語」 高倉天皇に片岡孝夫(現片岡仁左衛門)

▼79年「草燃える」 後白河天皇に2代目尾上松緑、後鳥羽天皇に初代尾上辰之助

▼91年「太平記」 後醍醐天皇に片岡孝夫

▼04年「新選組!」 孝明天皇に中村福助

▼13年「八重の桜」 孝明天皇に市川染五郎(現松本幸四郎)

▼18年「西郷どん」 孝明天皇に中村児太郎