横田めぐみさん(失踪時13)をはじめ、北朝鮮による拉致と、その被害者を描いた映画「めぐみへの誓い」(野伏翔監督)完成披露試写会と会見が24日、東京・永田町の憲政記念館で行われた。

「めぐみへの誓い」は、2010年(平22)に劇団夜走会の公演として都内の紀伊国屋サザンシアターで公演された舞台の映画化作品。舞台は14年に全国35カ所で公演された。映画化にあたり、クラウドファンディングを行うなどして、約6400万円の製作費を集め、3月7日に秋田でクランクインし、同30日に都内でクランクアップした。

主人公の横田めぐみさんを演じた女優の菜月(21)は、大鶴義丹(52)演じる、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の工作員シンガンシュンに拉致された後に勉強したハングルを、流ちょうにしゃべるシーンを見事に演じきった。どのように練習したかを聞かれると「(19年の)クリスマスあたりから撮影まで練習した。書いてもらったのを聞いたり、おうちで収録したもの(音声)を聞き、復唱した」と振り返った。その上で「完成した映画を見たのは、今日が初めて。撮影中の苦しかったこととか思い出してウワっとくることもあたけれど、めぐみさんの笑顔を取り戻したい。拉致された人が、1人でも早く帰ってきて欲しい、この映画がその一歩になったらと強く思っています」と力強く語った。

6月5日に亡くなった、めぐみさんの父滋さんを演じた原田大二郎(76)は、舞台版でも滋さんを演じている。「自分の意思に反して、自由を奪われた人の自由を早く返して欲しいという思いで、この映画を作った。米アカデミー賞を取って欲しい。ニューヨークで評判になって、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に届けばうれしい。僕も試写を見た。結構、感動しました」と声を詰まらせながら訴えた。

めぐみさんの少女時代を演じた坂上梨々愛(13)は、拉致されるシーンを演じた。「私は、すごく家族が好き。本当にこういうことがあったのが信じられない。自分も怖いし、めぐみさんも本当に怖かっただろうと考えると…怖いというのが1番」と語った。

この日は、母の早紀江さんを演じた石村とも子(62)、田口八重子さんを演じた安座間美優(33)、金賢姫を演じた小林麗奈(25)、在日女性パクカソンを演じた仁支川峰子(62)らが登壇。拉致被害者増元るみ子さんの実弟照明さんが出席した。