ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが19日、都内で会見を開き、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けているクリエイター、製作スタッフ、俳優が継続的に創作活動に取り組めるように、12人の映像監督による12本の短編映画製作プロジェクト「DIVOC-12」(ディボック-トゥエルブ)を発足させると発表した。

プロジェクトは、12人の映像監督によって各10分程度の短編映画を12本製作する。若い世代の主演俳優を起用すること、監督、主演俳優のゆかりのある場所でロケをすることが条件。また3人の監督を一般から公募し、19日から1カ月間、募集する。また俳優の一般公募も行い、台本ができ次第、オーディションを開始する。感染予防を徹底し、12本を製作する過程を撮ったドキュメンタリーも製作。劇場公開、配信、ブルーレイ、海外展開も行い、活動を通じて得た収益の一部を芸術文化振興基金に寄付する。

その中核をなす3人の監督として、19年「新聞記者」で第43回日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめとした主要3部門を受賞した藤井道人監督(34)、18年「カメラを止めるな!」で世界を席巻した上田慎一郎監督(36)、17年「幼な子われらに生まれ」で第41回モントリオール世界映画祭で審査員特別大賞を受賞した三島有紀子監督(51)の参加が決まった。各監督の下には、次世代の若手監督が2人、一般オーディションで選ばれた監督が1人の3人がつき、4人で1チームを作り、各チームごとに4作品を作る。藤井監督が「成長への気づき」、上田監督が「感触」、三島監督が「共有」をテーマに作品を作る。

上田監督は「3チーム、12監督で関わって映画を作ることがないので、ワクワクしております」と期待感を口にした。コロナ禍の中で「エンタメをやるべきでない、やるべきだという声があったが、自分は白黒ではないと思った。その考えにも合うので、やってみたいと思った」と企画に参加した意図を説明した。

「カメラを止めるな!」が大ヒットする前は、短編映画を国内各地の映画祭にコツコツと送り、地道に評価を高めた日々がある。上田監督は「コロナ禍がなかったら起きなかったプロジェクト。短編には長編に出来ないチャレンジが出来る。久々に作る。挑戦があるものを作りたい」と構想を語った。

さらに、この日、公開からの3日間で興行収入(興収)46億円を突破したアニメ映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」(外崎春雄監督)にも触れた。「『鬼滅』がスーパーヒットしているじゃないですか? 多くの人が見られるコンテンツを作りたい」と語った。

三島監督は「上田監督と藤井監督と映画を作ることが出来るのは珍しいし、後輩とワイワイ、映画の話をしている。そうやって映画を作ることが出来るのが楽しい」と期待した。