主演男優賞は、史上最高齢となる83歳でノミネートされた「ファーザー」のアンソニー・ホプキンスが受賞した。1991年(平3)「羊たちの沈黙」以来、30年ぶり2度目の主演男優賞でのオスカー獲得となった。

主演男優賞には、「マ・レイニーのブラックボトム」に主演も、20年8月に大腸がんで43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマンさんがノミネートされており、本命視されていた。死後にノミネートされた例は7人目で、受賞した場合、08年「ダークナイト」で助演男優賞にノミネートされたヒース・レジャーさん以来の快挙になることも話題だった。

授賞式直前の予想では、ホプキンスの評価も高まり、2人の一騎打ちの構図だった。前回「ジョーカー」で主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスは「役者が役柄にはまった瞬間について語って欲しいと言うが…語れない。そんな経験はない。(ノミネートされた)5人の演技を見てインスピレーションを感じた。この中からたった1人しか選べないのは残念」と語った。

この日は「サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~」でイスラム教徒として初めてノミネートされパキスタン系英国人俳優リズ・アーメッド、「ミナリ」のスティーブン・ユァン(37)、最多10部門にノミネートされた「マンク」のゲイリー・オールドマン(63)は会場入りしていたが、ホプキンスは来場せず、授賞式の生中継は受賞を発表し、終了した。