主演女優賞は、6部門にノミネートされた「ノマドランド」主演のフランシス・マクドーマンド(63)が、96年の「ファーゴ」、17年の「スリー・ビルボード」に続き、主演女優賞で3度目のオスカーを獲得した。同作は作品賞、アジア系女性として初の受賞となったクロエ・ジャオ監督(39)の監督賞に続く、主要賞の獲得となった。

マクドーマンドは、リーマン・ショックをテーマにしたノンフィクション「ノマド:漂流する高齢労働者たち」の映画化権を17年に獲得。自ら製作に関わり、企業の破綻で仕事と家を失った60代の女性ファーンがキャンピングカーで生活し、短期労働で生計を立て、現代の遊牧民として新しい生活をさがす旅に出る姿を描いた。主演のマクドーマンド以外は、実際にノマド生活を送っている人々を起用したことも話題となった。

撮影は18年9月から6カ月と、コロナ禍の前に製作、撮影され、マクドーマンドは外や車内で用を足すシーンまで演じ、その妥協のない演技が評価されていた。一方で「プロミシング・ヤング・ウーマン」のキャリー・マリガン(35)「マ・レイニーのブラックボトム」のビオラ・デービス(55)の評価も高く、賞レースの中でも最も行方が読めなかったのが主演女優賞だった。マクドーマンドは「とても言葉で表現できない。私の行為を明らかにするのは難しい。私たちは、作品を通じて戦っています。私は、仕事が大好き…そのことを知って頂きたい」とスピーチした。