昨年5、6月に予定されながら新型コロナウイルス禍で延期になっていた、ワハハ本舗の全体公演「王と花魁」(おいらん)が、10月28日から全国13カ所17公演が行われることが決定した。3度目の緊急事態宣言が5月31日まで延長が決定した中、全体公演にかける思いを柴田理恵(62)梅垣義明(61)ポカスカジャン大久保ノブオ(54)と主宰の喰始氏(73)に聞いた。全5回の3回目。

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喰 稽古は9月からやる予定です。ネタ作りもそこから始まるんです。ただ、取材を受けたりもするので、そこでいろいろなアイデアが生まれてきたりする。こういう風な状況を、なんでもかんでも逆手に取っちゃうのが面白くてね。僕らがステージをやっていて、お客さんの顔を見ると喜んでいる。今回の10月からの公演は、やはりお客さんも全員マスクをしているだろうと思う。お客さんが全員マスクをしているのをステージから見るのは、ちょっとつらいなと思う。

そこで思いついたのが、お客さんに七夕の短冊のように「笑うぞ」「頑張って」「拍手」とか応援メッセージをマスクに書いてきてもらう。劇場にも、もちろん用意するけど、それを着けてくださいと言うことをやろうと思っている。劇場に来た人のマスクに書いてあるのを写真に撮って、映像で流そうというのを考えついた。なら、舞台だけじゃなくて、その前にキャンペーンをしようと。応援ソングに乗せて、その映像を流してやろう。キャンペーンを兼ねて、本番以前にマスクにメッセージを書いた写真を募集しています。音楽は、この公演の応援隊長の泉谷しげるさんにお願いしました。

柴田 劇場は、たくさん人が集まっている飲み屋に比べたら安全ですよ。サラリーマンが集まって行く昼間の定食屋に比べたら、よっぽど安全。誰もしゃべってないし、マスクしてるんだから。マスクして笑ってるんだからね。

喰 ワハハの公演は、客席との絡みが売りだったりもするんだけど、そこを逆手にとってどうやるか。そこで、面白いことができないかとアイデアをみんなに出してもらいます。

大久保の大好きなゾンビのコーラスラインは、舞台の前に有刺鉄線で電流を流すみたいな感じにしようかなと思っています。舞台から降りて、客席まで行けないゾンビたち。パフォーマンス系では、日本文学を前衛的なコンテンポラリーダンスにしてみようかと。難しいものに難しいものを掛け合わせて何ができるか。客席でワーワー言うんじゃなくて「どう、付いてこられる?」「このお笑い分かる?」というのにチャレンジしやすくなった。

柴田 それも、ワハハが昔から持っている一面だと思う。

(続く)

◆ワハハ本舗(ほんぽ) 84年、東京ヴォードヴィルショーの若手だった佐藤正宏、柴田、久本雅美、喰氏によって旗揚げ。現在は複数のセクションがあり、猫ひろし、正司歌江、ウクレレえいじらが所属。バラエティー形式の公演で人気を集め、下ネタも多い。06年のNHK紅白歌合戦でDJ OZMAに、裸に見えるスーツを貸し出したことも話題となった。