宙組は、トップ真風涼帆が2人目相手娘役に潤花(じゅん・はな)を迎え、新体制のスタートを切った。新コンビ本拠地お披露目「シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-」「デリシュー!-甘美なる巴里-」は、兵庫・宝塚大劇場で8月2日に千秋楽。東京宝塚劇場の開幕を8月21日に控える(9月26日まで)。

潤はトップ娘役に就き「うそ偽りなく」進むと決めている。真風の持論でもあり、寄り添って歩む。潤は雪組時代の昨年、後に新トップに就く彩風咲奈の全国ツアー主演作でヒロインの予定だった。コロナ禍で延期され、昨年8月に大阪・東京公演として上演。その後、宙組へ移り、真風の相手娘役に迎えられた。

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下級生時代から抜てきが続く潤の魅力とは-。今作芝居「-ホームズ」の作・演出、生田大和氏は「アンビバレント」と表現した。

生田氏は「スタイルや感性は最新型なんですけど、でもどこか昭和の女優さんの香りがする。不思議。未来と過去が融合、理想と現実のギャップと言いますか、ゆらぎ(が魅力)。今後、より確立されていくと思う」と見る。稽古場で、生田氏は「よく『賀来千香子さんがいる』と言っていて」とも明かし、笑った。

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一方、ショーの作・演出の野口幸作氏は、潤が雪組時代、18年全国ツアー「SUPER VOYAGE!」に出演していた姿が、強く印象に残っているという。「きれいだな、と思った。彼女が出てきた瞬間に空気が変わる。華やかになる」。続けて、元星組トップ娘役毬藻えり、元雪組トップ娘役鮎ゆうきの名をあげ「男役を引き立たせ、より格好良く見せる娘役。最近なかなかいない。ストイックさもある。楽しみ」と、潤の特長を語った。

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今作、芝居では真風がシャーロック・ホームズにふんし、女嫌いの設定。潤は詐欺師アイリーン役で、真風のホームズが窮地を救う。真風・潤の新コンビから、新たな魅力も生まれる。

生田氏は新コンビについて「真風にはまっすぐで、揺るがない強さがある。真風という存在は、宙組においてとても大きくて、潤は多少遠慮が出るかな? と思ったけど、一切ない。信頼関係はすでに構築されており、相性がいいんだろうなと思う」と評した。

これに、野口氏も、学年差はありながら「対等に芸を見せ合える」大人のコンビとして期待。真風が潤をリードして稽古を進めるのは当然だが、一方で、舞台では「逆に(芝居展開によって)潤がリードしているように見せることもできる」と指摘。真風の懐の深さが、そういった“演出”にもつながっていくのではないかと見る。

そして、野口氏は、真風自身の変化にも触れた。

「稽古場で、真風が潤にいろんなことを教えてあげていたんですが、潤以外にも、初舞台生のカツラを見てあげたり、さらに余裕が出てきたよう」

新コンビが率いる新生・宙組は、まだまだいろんな顔を見せてくれる。【宝塚歌劇担当・村上久美子】