歌手で女優、作家の中江有里(48)が25日に29年ぶりのフルアルバム「Impression-アンプレッシオン-」をリリースする。20日には小説「水の月」を出版。来月5日に東京、同24日に大阪でライブを開く。コロナ禍、母の死などを経ながらも、精力的に活動する“今”を語った。

アルバムは全14曲、全て松井五郎氏の作詞。昨年1年間かけてレコーディングを行った。「発売時期も決めないで、ずっとレコーディングをやっていました。昨年1月にミニアルバムを発売して、すぐにこのアルバムの制作に取りかかりました。そういった意味ではスピード感があって、気持ちが途切れることなく歌い続けることができました。1歩踏み込んで、歌の世界に触れられた。でも、フルアルバムって29年ぶりなんですよね(笑い)」。

小説「水の月」は月刊「潮」の20年8月号から22年1月号まで連載した。幼い頃に両親の離婚で離ればなれになった姉妹。母が、がんになり妹から姉に手紙が届く。長らく離れていた2人はメールで往復書簡を交わす。「メールとか手紙って、身の上を明かすのには、すごくふさわしい形だなって。家族でありながら、思いを共有できなかった2人が心の内を明かしていくのは、こういう形じゃないかなと思いました。読んでいただく方にも、2人の心情をのぞき見るような感じで興味を持ってもらえるのかなと思っています」。

連載開始直後の20年8月には、中江自身の母もがんで69歳で亡くなった。「この小説に書いてある母親の病気の進行、亡くなるまでの過程というのは、ほぼリアル。母に尋ねたら、書いても構わないと言ってくれました。書くことで冷静になれるかと思いました」。

歌手、小説家、そして女優。長いブランクと熟成の期間をへて、才能がゆっくりと、今も花開いている。【小谷野俊哉】

◆中江有里ライブ

▽6月5日 東京「JZ Brat Sound of Tokyo」

▽6月24日 大阪「MUSIC SQUARE 1624 TENJIN」

◆中江有里(なかえ・ゆり)1973年(昭48)12月26日生まれ、大阪府出身。1989年(平元)JR東海のCMでデビュー。90年のTBS系「なかよし」で女優デビュー。91年にはシングル「花をください」で歌手デビュー。92年の日本テレビ系「綺麗になりたい」で連続ドラマ初主演。95年のNHK連続テレビ小説「走らんか!」ではヒロイン。13年に法大通信教育部文学部日本文学科を卒業。19年から歌手活動を26年ぶりに再開。21年にミニアルバム「Port de voix」をリリース。

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