15歳で歌手デビューし、今年で50周年の節目を迎えた石川さゆり(64)。「津軽海峡・冬景色」「天城越え」など歌謡史に輝く名曲をお茶の間に届けて半世紀。人生を歌にささげ、常に向上心を忘れない歌謡界のトップランナーだ。

29日の紙面「日曜日のヒロイン」に掲載できなかったアナザーストーリー(一部重複)を全7回に分けてお届けする。【取材・構成=松本久】

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コロナ禍で歌う機会が激減する中、石川はボイストレーニングに通った。新人のころ以来だった。「いままではなかなか行けなかった。すごく忙しかったから、レッスンよりも喉を休めることの方が必要でしたから」。

ボイトレの後、新曲をレコーディングする際に音を担当するミキサーから驚きの声が上がった。「『声の出方が変わりましたね』って言われました。ミキサーさんは私がボイトレをしたことを知らないわけじゃないですか。ヨシヨシと思いました。若い時と違って、今は自分の声がどこにあってどこに向いているのかが分かるんですよ。だからそれがすごく面白くって」。

20年にYouTubeチャンネルを開設してライブ配信を始め、今年に入ってインスタグラムもスタート。「いくら『コロナで大変だ』と言っても、その『大変』はなかなか明けないじゃないですか。だから自分にできることをやるだけです。とにかく歌を止めちゃいけない。どういう形であっても届ける」。(続く)

◆石川(いしかわ)さゆり 本名石川絹代。1958年(昭33)1月30日、熊本県生まれ。73年に「かくれんぼ」でアイドル歌手としてデビュー。77年に「津軽海峡・冬景色」が大ヒットし、同年に同曲で紅白歌合戦に初出場。昨年までに紅組最多の44回出場中。代表曲に「能登半島」「天城越え」「風の盆恋歌」など。19年に紫綬褒章を受章。血液型A。