市川海老蔵あらため13代目市川團十郎白猿(44)の襲名披露公演、8代目市川新之助(9)の初舞台となる「十一月吉例顔見世大歌舞伎」が7日、東京・歌舞伎座で初日を迎えた。「口上」では、市川家に伝わる「にらみ」を、團十郎として初披露した。

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2年半の延期を経てようやく迎えた襲名披露公演初日。夜の部「口上」で、團十郎は「未熟者ではございますが、先祖の足元にも及びませんが、一生懸命努力して、精進したい」と力強くあいさつし、團十郎として初めてのにらみを披露した。にらみは、市川家に受け継がれる見えで、邪気を払い、無病息災を願うもの。江戸の人々はにらみを見ると1年間は健康に過ごせると信じたという。

松本白鸚が「皆様の無病息災を願ってしっかりとにらんでください」と声を掛けると、團十郎は「ひとつにらんでご覧に入れまする」と片肌を脱いだ。力強く目を見開くと、どよめきと大きな拍手が送られた。新型コロナウイルスの影響が大きかったこの2年半。万感こもったにらみだった。

「口上」では先輩たちから激励の言葉を送られた。尾上菊五郎は「一時は暴れん坊将軍と呼ばれていましたが、今では歌舞伎十八番をつとめる立派な役者になられた」と笑いを誘った。誰もが團十郎の父、12代目團十郎さんの思い出を語った。菊五郎は「12代目さんのうれしい顔が浮かんでまいります」と言うと、片岡仁左衛門も「お互いの家を行ったり来たりしていた時、小さい坊やがうろうろしていた。その坊やが立派になられた」と振り返った。團十郎は「ありがたい、すてきなお話をありがとうございます」と感謝した。

團十郎は昼の部「勧進帳」、夜の部「助六由縁江戸桜」に出演。襲名披露公演は、歌舞伎座では12月も、来年以降全国を回って約2年にわたって行われる。【小林千穂】