歌舞伎俳優尾上菊五郎の孫で、女優寺島しのぶの長男寺嶋眞秀(まほろ)君(10)が、初代尾上眞秀を名乗って、「團菊祭五月大歌舞伎」(5月2日初日、東京・歌舞伎座)で初舞台をつとめることが発表された。先日の会見では、眞秀君の明るく物おじしない姿が印象的だった。

眞秀君が初お目見えしたのは17年5月の「魚屋宗五郎」。思えば当時から堂々としていた。酒屋の丁稚(でっち)を演じた眞秀君。初日はさぞ緊張しているかと思いきや、舞台に立てることがうれしくてたまらないといった表情だった。客席を見て笑みも見せていた。客席に来ている友達を見つけて、思わず笑顔になってしまったと聞いて、びっくりした。

眞秀君がぐっと成長したように感じた舞台がある。初お目見えから約2年たった19年の「盛綱陣屋」だ。それまで一緒に出ていた祖父菊五郎や叔父菊之助が出演していない舞台。演じた役は、じっとしている時間が長い上、出で沸かせるというような役柄ではない。空気を読むことが大事な芝居で、子役にとっては難しく大きな役だったと思う。眞秀君は見事に演じてみせた。その後も、祖父や叔父のいない舞台も何度か務めるなどしており、頼もしさは増している。

初舞台の発表会見は、フランス人でアートディレクターのローラン・グナシア氏のルーツの関係で、フランス大使公邸で行われ、眞秀君はフランス語で自己紹介。「いつか、僕とパパの母国フランスで、歌舞伎公演をやってみたいです」と宣言してみせた。

上手なスピーチとあいさつに、今日は緊張はしていますかという質問が。眞秀君は「全然緊張してないです。緊張はしなかったです。(あいさつは)一番うまくできたと思いました」と応じていた。

隣にいる母、寺島しのぶの方が緊張の表情だったように見えた。寺島も「今日は私の方が心配しちゃって…。スピーチは、朝から練習しなさいと言っていたんですが、全部、丸無視されて学校行っちゃった」と苦笑いしつつ「言うことは聞きませんが、いい意味でも悪い意味でも、とても彼は頑固でポリシーをしっかりと持っている。スピーチもちゃんとできたので、これからはあまり言わないようにしようと反省してます」と、眞秀君の姿に成長を認めたようだった。

眞秀君が歌舞伎が好きで、舞台が好きという姿勢は、父グナシア氏の言葉からもよく分かった。「3歳から眞秀は歌舞伎に出たくて、4歳から今まで練習して勉強して、楽しそうでいつもスマイル。私はすごくうれしいです」。歌舞伎をやっている時はいつもスマイル。シンプルな言葉を聞いて、眞秀君の普段の様子が目に浮かび、だからこそ舞台で堂々としていられるのかなと思った。

菊五郎は初舞台の演目の構想について、武将の岩見重太郎を主人公にしたいと話している。にぎやかな明るい場面、立ち回りもあり、「立役も女形もやらせてみたい。私の通ってきた道ですから」と期待を寄せている。尾上眞秀としての5月の初舞台、どんな姿を見せてくれるのかが楽しみだ。【小林千穂】