東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ紙7紙の映画担当記者で構成)主催の第65回(22年度)ブルーリボン賞が23日までに決定し、嵐の二宮和也(39)が「ラーゲリより愛を込めて」(瀬々敬久監督)などで主演男優賞を受賞した。ジャニーズ事務所からは、同事務所所属の現役俳優で初受賞した岡田准一(42)に続き、2年連続での受賞となった。

二宮は「うれしいな。賞は狙ってもらえるものではないですし、狙っていっているものではない。驚いたし…届けたいものが、ちゃんと届いた、合格点をいただいた感じ」と初受賞を喜んだ。

「ラーゲリより愛を込めて」では、第2次大戦後の1954年(昭29)にシベリアの強制収容所(ラーゲリ)に抑留され、病に倒れ、帰国できずに亡くなった山本幡男さんという実在の人物を演じた。祖父がシベリアに抑留されたことも踏まえ「戦争ではなく、戦争がもたらす後遺症を描きたい」という志を持って撮影したという。

それが撮影を終え、編集が始まったタイミングで、ロシアのウクライナ侵攻が始まった。「(戦争を)忘れないために描いたものが、いきなりタイムリーになってしまい、無力だなぁと…。それが作品が出来る前に最初に思ったこと。それが、見ようという方のトリガーになったのかなと」と、受賞にも複雑な心情をのぞかせた。

ブルーリボン賞には、浅からぬ縁を感じている。山本幡男さんの息子・顕一さんの壮年期を演じた寺尾聰(75)とは、05年のフジテレビ系連続ドラマ「優しい時間」でも、立場を変える形で父子を演じていた。その撮影中、脚本を担当していた倉本聰さん(88)から、青いリボンをもらったという。

当時、二宮はまだ映画に出演していなかったが、撮影が行われたタイミングで、ブルーリボン賞の受賞発表がなされたのを見た倉本さんは「お前は、めちゃくちゃ良い芝居をしているのに、世の中から全然、評価されていないのが嫌だ。じゃ、俺がブルーリボン賞をやるよ」と怒った。そして「百貨店の平たいサテンの、先っぽを三角に切ったみたいなヤツを台本に巻いてくれたの」(二宮)をプレゼントしてくれたという。

二宮は「僕は、そもそも、映画も出ていなかったので(選考の)条件にも入っていなかった。『いつか頑張ったら、本当のブルーリボン賞をもらえる人だから、あんたは。頑張り続けなさい』と言われ…受賞を聞いて一呼吸を置いて、そのことを思い出しましたね。だから僕は、ブルーリボン賞、“2回目”なんです」と感慨深げに語った。

そして「それがあって、僕の中でブルーリボン賞の思いが強くて。縁があるんですかね。倉本さんにも受賞を伝えようかと思っていて。覚えているか不安ですけど、言っていたのは本当だったことが証明された。腐らずに頑張ってきて、良いことがあったと改めて伝えたいですね」と倉本氏への報告の機会を期待した。【村上幸将】

◆ブルーリボン賞 1950年(昭25)創設。「青空のもとで取材した記者が選出する賞」が名前の由来。当初は一般紙が主催も61年に脱退し67~74年の中断を経て、東京映画記者会主催で75年に再開。ペンが記者の象徴であることから副賞は万年筆。新型コロナウイルス感染拡大防止のため授賞式は3年連続で開催を見送ってきたが主演男、女優賞受賞者が翌年の授賞式で司会を務めるのが恒例。