直木賞作家今村翔吾氏(38)が12日、静岡県伊豆市で行われた伊豆文学フェスティバルで「伊豆文学塾」と題して、小説家太宰治の娘の作家太田治子氏(76)と記念トークショーを行った。

同フェスティバルでは伊豆文学賞の表彰式も行われ、太田氏は審査員を務めている。

伊豆文学賞は1997年(平9)にスタート。今村氏は2016年に小説「蹴れ、彦五郎」で小説・随筆・紀行文部門で最優秀賞を受賞している。その後、九州さが大衆文学賞、角川春樹小説賞、吉川英治文学新人賞、山田風太郎賞を受賞。22年1月に第166回直木三十五賞を「塞王(さいおう)の楯」で受賞した。

自身の作家としての原点が、伊豆文学賞受賞の今村氏は「(住んでいる滋賀県大津市の)石山寺の門を出たタイミングで、受賞の電話がかかってきたことを今でも鮮明に覚えています。地面に膝をつけて泣きました。一番泣いた賞です」と7年前の歓喜の瞬間を振り返った。

さらに、今回の受賞者に対して「せっかく物語を書くのであれば、伊豆文学賞をステップに、多くの方に読んでいただける作家を目指してほしい」と熱いエールを送った。