TBS系特撮ドラマ「帰ってきたウルトラマン」に主演した俳優の団時朗(だん・じろう)さん(本名・村田秀雄=むらた・ひでお)が22日午前4時14分、肺がんのため亡くなった。74歳。24日に所属事務所が発表した。団さんは17年夏に肺がんと診断されるも「ユーモアと優しさを失わず、生きるパワーに満ちあふれて仕事にまい進」(関係者)していたが、昨年末に体調が悪化して力尽きた。葬儀は近親者のみで営む。

団さんは1949年(昭24)1月30日、京都市に英国系米国人の父と日本人母の間に生まれた。父は米国空軍の軍人で、2歳の時に朝鮮戦争で戦死したという。俳優デビューした66年の映画「酔いどれ博士」(三隅研次監督)では役名もせりふもなかったが、翌67年に資生堂の専属モデルとなった。68年に男性化粧品「MG5」のCMに出演すると、長身痩躯(そうく)に鋭い視線で一躍、人気者に。同年には新人俳優・団次郎として、渡哲也さんの主演映画「わが命の唄 艶歌」(舛田利雄監督)に出演し主題歌「バラの恋」で、歌手デビューも果たした。

そして71年の「帰ってきたウルトラマン」で、郷秀樹という俳優人生最大の当たり役に巡り合った。ハンサムながら、一本気で時に突っ走り過ぎ苦悩しつつも、全身で怪獣に立ち向かう人間味のある郷を、アクションも交えて演じて人気を不動のものとした。75年の日本テレビ系「少年探偵団」では悪役の怪人二十面相を演じ、最終回ではその正体として俳優・団次郎を演じたことも話題となった。

84年に片岡仁左衛門主演の「ハムレット」に出演して以降、活躍の場を舞台に移し、森光子さん主演の芸術座公演、森繁久弥さんの座長公演に立て続けに出演。昨年5月28日にNHK BSプレミアムで放送したドラマ「京都人の密かな愉しみBlue修業中 門出の桜」が、映像としては最後の仕事となった。

◆ウルトラシリーズメモ 「帰ってきたウルトラマン」は、ウルトラシリーズとして画期的な作品となった。郷秀樹はウルトラマンと一体化して地球を去って行く最初の主人公となり、団さんが歌唱した同名主題歌も、主演俳優が歌唱したシリーズ初の主題歌となった。「帰ってきた-」以前の66年「ウルトラマン」と67年「ウルトラセブン」は「空想特撮シリーズ」と呼ばれ、TBSが企画し円谷プロダクションが制作。「ウルトラマン」で黒部進が演じたハヤタ隊員、「ウルトラセブン」で森次浩司が演じたモロボシ・ダンともに力強いヒーローとして描かれた。一方、円谷プロが制作を再開した「帰ってきた-」以降の作品は、若き主人公がウルトラマンとともに成長する中、変身後も怪獣に苦戦する姿など人間ドラマに軸が置かれた。