歌舞伎俳優松本幸四郎(50)と長男市川染五郎(18)が先日、都内で開催中の特別企画展「松本幸四郎家 高麗屋展 松本白鸚・松本幸四郎・市川染五郎 -世代をこえて継がれる、ひとつの絆-」のオープニングセレモニーに出席した。

幸四郎の父松本白鸚を含めた高麗屋親子3代の衣装、小道具、写真、映像などが展示され、高麗屋350年の歴史を知ることができる。

幸四郎は「本当に光栄です。とても盛りだくさんで、優しく歴史を知ることができる。高麗屋の歴史を振り返るいい機会をいただけた。情熱と思いが込められた展示会です」と話し、「先人を敬って、進化させていくのが自分の役目。日々新たな歴史が作れるようにつとめていきたい」と、あらためて決意を語った。

染五郎は、企画展のため、幼少期から憧れている「勧進帳」の弁慶の絵を、2・5メートル×5メートルの大きさで描いた。衣装を着た写真も飾られており、「弁慶に対する思いをかけた、ミリ単位でライティングも調整しました」とこだわりを明かした。いつか、弁慶を演じる日が楽しみになった。

幸四郎も話していたが、いろんな楽しみ方ができる企画展だった。衣装は役の形、いわゆる決めポーズで見られて、前後左右、いろんな方向から見ることができる。後ろから見るとどう見えるのかは、今までに見たことがない視点。幸四郎のこどもの頃からのノートは、プロ野球巨人のことが克明に書かれていたりと、なかなか興味深かった。

2人そろって「入場無料」を強調しており、染五郎が「開催する側が言うのもなんですが、本当に入場無料でいいのかというくらい」と、言うのも分かる、充実した内容だった。

白鸚は主演舞台「ラ・マンチャの男」が稽古に入っていることもあり、この日のコメントはなかったが、幸四郎は「父自身だけで歴史がある人ですので、今までの舞台や芸、舞台を離れた父を知ってほしい。(父は)開催していただけるうれしさがあると思います」などと話していた。

取材は、染五郎が間もなく18歳の誕生日を迎えるというタイミング。欲しい物を聞かれると「車ですかね。まずは免許ですが、いずれ車です」と即答。お父さんにお願いしますか、と聞かれると幸四郎は「トミカだったら6台くらいは…」と苦笑いしていたのも印象的だった。それにしても染五郎が大人になったなあ…と思った。

企画展は4月3日まで。【小林千穂】