世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭が16日(日本時間17)にフランスで開幕し、最高賞パルムドールを争うコンペティション部門に出品された「怪物」(6月2日公開)の、是枝裕和監督(60)がレッドカーペットを歩き、歓声を浴びた。

「怪物」の映画音楽は、3月28日に71歳で亡くなった音楽家・坂本龍一さんが、がんの闘病中に制作している。レッドカーペット上では、坂本さんが初めて映画音楽を担当し、俳優デビューも果たし、1983年(昭58)にコンペ部門に出品された、大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」のメイン楽曲「メリー・クリスマス ミスターローレンス」などが流された。

その中、ネイビーのプラダのタキシードに身を包んだ是枝監督が登場すると、一般客や世界各国から集まったカメラマンたちからは大きな声で「コレ・エダー」と声がかかった。同監督は笑顔で手を振るなど撮影に応じた。17日(同18日)の公式上映を前にフランス、さらには世界における、是枝監督の人気の高さは健在だ。

レッドカーペットには、オープニング上映される地元フランスのマイウェン監督の新作「Jeanne du Barry(原題)」主演の米俳優ジョニー・デップ(59)も参加。デップが、ポニーテールにサングラスのタキシード姿でレッドカーペットに降り立つと黄色い歓声が沸き、会場にどよめきが起きた。また、今回の映画祭で名誉パルムドールの受賞が決まっている米俳優マイケル・ダグラス(78)が妻のキャサリン・ゼタ=ジョーンズ(53)と共に登場した際にも、会場には熱気が立ち上った。

「怪物」は、是枝監督にとって邦画3作ぶりとなる新作。同映画祭コンペティション部門への出品は、韓国映画に初めて挑戦した22年「ベイビー・ブローカー」に続き、2年連続、7回目の選出(カンヌ国際映画祭への出品自体は9回目)。18年にパルムドールを獲得した邦画としての前作「万引き家族」に続く、頂点取りを目指す。

カンヌ映画祭には「万引き家族」の際も参加した、シングルマザー麦野早織役の安藤サクラ(37)沙織の息子・湊役の黒川想矢(13)湊の友人の星川依里役の柊木陽太(11)と、担任教師の保利道敏役の永山瑛太(40)、脚本を手掛けた坂元裕二氏(56)が参加する。