水谷豊(70)が、芸歴57年で初の著作「水谷豊 自伝」を7月13日に新潮社から刊行する。1日、同社が発表した。

水谷が初の著作を出すのは、親友の松田優作さんの前妻でノンフィクション作家の松田美智子氏(73)が聞き手になってくれるなら、長い間、自分が繰り返し自問し続けてきたことの答えが見つかるかもしれないという淡い期待からだった。20代前半のころ、松田さん夫妻の家をしばしば訪れ、夜中まで話し込んで泊めてもらい、お互いに気を許した仲だからこそ話は弾んだという。当初の予定を大きく超え、立ち会った編集者も驚くほどのエピソードや思いが飾らない言葉で明かされた。淡々と、時にウイットを交えて語られる肉声を、松田氏は旧友の情愛と作家の感性で受け止め、書き留めて本作は共著として刊行されることとなった。

北海道芦別市出身の水谷は「父親が家にいないのが普通」の家庭に育ち「夜遊びをするよりはマシ」と思った母に許されて、小学6年生で芸能界に入った。13歳で劇団ひまわりに入団以降、テレビ、映画、舞台など出演多数。俳優として、監督として、第一線を走り続ける水谷が、出演作の秘話のみならず、生い立ちから現在に至るまでの人生の起伏、日常生活や多彩な交友録まであますところなく語り尽くした。

「水谷豊 自伝」は全5章で、おいたち、初恋のようなもの、芸能界デビュー、14歳での初主演、代表作の1つ「傷だらけの天使」の忘れられない共演者から、テレビ朝日系「相棒」で切望した相棒や不仲説まで語る。さらに妻の伊藤蘭(68)や1人娘の趣里(32)との時間についても触れる。水谷は「こんなに自分の過去を振り返ろうとしたことは一度もなかった」と語っている。