歌舞伎俳優市川猿之助(本名喜熨斗孝彦)容疑者(47)が27日、母親の自殺を手助けしたとして自殺ほう助容疑で逮捕されたことで、歌舞伎制作、上演を手がける松竹にも激震が走った。
同日、松竹は公式サイトで「これまで数多くの歌舞伎公演に出演いただいた弊社としましては、このような事態に至りましたことを重く受け止めております。家族内の事件であることにも鑑み、司法による最終的な判断がなされるまでは、会社としての見解について申し上げることは差し控えさせていただき、今後の捜査等を見守りたい」とのコメントを発表した。
すでに猿之助容疑者は10月までの休演が発表されているが、来年2~3月予定のスーパー歌舞伎セカンド「鬼滅の刃」については不透明だ。-セカンドは、猿之助容疑者が企画、演出、出演を一手に手がけてきたシリーズだけに、公演の実現には困難を極めそうだ。
スーパー歌舞伎は伯父市川猿翁(83)が立ち上げた。宙乗りなど派手な演出や壮大な物語が特徴で、現代風のせりふも分かりやすく人気となった。その精神を引き継ぎ、より新しいものをと手がけたのが-セカンド。漫画「ワンピース」を原作にした公演は、何度も再演される話題作となった。猿之助容疑者は積極的に若手を起用し、後進の育成にも力を入れてきた。
-セカンドに代表される猿之助容疑者の公演は松竹にとって看板公演の1つ。また、コロナ禍で公演時間や座席数を制限していた時期、誰よりも歌舞伎座に出演したのも猿之助容疑者だった。松竹だけでなく歌舞伎界全体が受ける衝撃や影響は計り知れない。
澤瀉屋一門の行く末も心配される。猿翁の孫で、市川中車(57)の長男市川團子(19)がいずれ猿之助を継ぐことは「暗黙の了解」(歌舞伎関係者)だが、澤瀉屋の芸を学ぶためには猿之助容疑者の存在は不可欠だった。ただ芸の伝承は一門の枠を超えて、教えたり、教えを請うたりする。歌舞伎界全体で支え合うことが一層重視される。



