歌手堀内孝雄(73)が17日、大阪フェスティバルホールでコンサートに出演した。16日にアリスのリーダーで盟友の谷村新司さんの訃報が伝えられたばかり。悲しみをこらえながら、故郷大阪のファンを前に熱唱を続けた。

この日のステージは、堀内と歌手渡辺真知子(66)、元Wink相田翔子(53)と共演。秋らしい歌を順に披露する場面で堀内は、アリス時代の「秋止符」(79年)を淡々と歌い上げた。谷村さん作詞、堀内が作曲した思い出の一曲だ。後半には「竹とんぼ」「時代屋の恋」「愛しき日々」など、ソロでのヒット曲を次々歌い、その合間に谷村さんの思い出を語った。

「兄貴のように慕っていました。デビュー前、神戸で初めてチンペイさん(谷村さん)のステージを見ました。その後『プロにならないか? ベーヤン(堀内)とやりたいねん』と誘ってくれました。出会いから53~54年、人生のいい機会をくれました」と若かりし日を振り返った。

アリスのライブでは、いつも堀内の上手(かみて)に谷村さんがいた。堀内は「どれだけ慰めてくれたか、どれだけ奮起させてもらったか」。歌いながら一瞬感極まったのか、目頭を押さえる場面も。ソロになって時代劇や刑事ドラマのテーマ曲を手がけるようになった堀内に対し、谷村さんは「ベーヤン、無理したらあかんで。ストレスたまるで」と声をかけたという。

「(谷村さんの死は)あまりに突然のことで、あぜんとするしかなかった。(葬儀で)最後に顔を見たけれど、いい顔をしてました。チンペイさん、聞いてるか? 同じ声を出すのは無理かもしれないけど、僕なりに頑張るからね!」と天国に呼びかけた。

昼夜2回公演を終え、取材にも応じた。谷村さんが3月に手術を受けて以降は直接会うことはできなかったことを明かしつつ、堀内は「回復して戻ってくるのを待っていたんですけど、残念です。気丈な人で弱い面を見せるのが嫌いだったんですが、僕らには弱い部分も見せてほしかった。葬儀の時には、僕の思いをしたためたメッセージを棺の中に入れて、見送りました」と声を振り絞った。

MBSラジオ「ヤングタウン」で3人そろって収録に参加していたが、「あの番組で会えるのが楽しみでした。チンペイさんには『この先いつまで僕も歌えるか分からないけど、あなたに恥じない歌を歌っていきたい』と伝えたいです」と今の心情を打ち明けた。【三宅敏】