笑福亭鶴瓶(72)が、映画「35年目のラブレター」(25年3月7日公開)に主演し、原田知世(56)と初共演で夫婦を演じることが2月29日、分かった。
読み書きができず、最愛の妻子に手紙を書きたいと65歳から夜間中学で一から文字を学び、結婚35年の70歳で初めてラブレターを渡したことが広く報じられた、奈良市の西畑保さんの実話を塚本連平監督(61)が映画化。鶴瓶は西畑さん、原田は妻の皎子(きょうこ)さんを演じる。
鶴瓶が演じる西畑さんは戦時中に生まれ、小学2年生以降、十分な教育を受けることができないまま大人になり、35歳で皎子さんと結婚。結婚後に読み書きができないことが露見するも、温かく支え続けてくれた皎子さんへの感謝を自ら書いた手紙で伝えたいと思い続けてきた。65歳の定年後、夜間中学で文字を習う中で、夫から妻へのラブレターの公募を知り、応募。結婚から35年の70歳で、初めてラブレターを渡したことが03年以降、新聞、テレビなど各メディアで報じられ、話題を呼んだ。
塚本監督は20年の始めごろ、ワイドショーを見た妻から話を聞いたことがきっかけで西畑さんのことを知り、気持ちがこもった直筆のラブレターを目にして映画化を企画。その段階で「関西弁で面白くて魅力的で、西畑さんの世代を演じることができる人」と、すぐに鶴瓶が思い浮かんだという。
鶴瓶は「西畑保さんのことは弟子のノンフィクション落語で字が書けない話だと大まかには知っていましたが、オファーをいただいて映画の脚本を読んで面白そうと思いました」と、オファーを受けた時の思いを振り返った。実は12番目の弟子の鉄瓶(45)が、市井の人々を取材して創作した「ノンフィクション落語」の第1作として、西畑さんを題材にした「生きた先に」を21年に初披露していた。塚本監督が、鉄瓶の落語の存在を知ったのは鶴瓶をキャスティングした後で、奇跡的な縁で結ばれた起用となった。鶴瓶は、西畑さんとも対面しており「実際にお会いしました。歳を重ねてから何かいいものを手に入れた人って、なんかうれしそうなんです。そこが一番大事です。うれしそうなんですね。『字』を書いたことで人生が豊かになって、それだけ努力もされて…すごくすてきな方でした」と振り返った。
皎子役のキャスティグについては、塚本監督が「優しく寄り添ってくれる人」とイメージし、純粋で柔らかいたたずまいの原田を推した。原田は「脚本を読んで本当にすごくすてきなご夫婦のお話だと思いました。舞台が奈良県なので関西弁での演技が少し不安でしたが、鶴瓶さんと夫婦役をやらせていただくこんなチャンスはないと思い、参加させてもらうことを決めました」と鶴瓶との初共演が出演の決め手だったと明かした。鶴瓶とは違い、今作へのオファーで西畑さんの話を知った。「この作品に出会って初めて映画の元となった西畑保さんの実話を知りました。大人になってからでも何かを始めて、達成することができるのだと希望が持てるお話です」と作品を評した。
関東近郊で撮影中だが、鶴瓶は「原田さんが妻役だと聞いて『ぜひ!』とお伝えしました。原田さんには僕が旦那で気の毒ですけど…。全然しゃべらなくてもいいなって思える空気で、完全に夫婦になってます」と、息がピッタリ合った原田との撮影の様子を明かした。そして「粛々と気張る必要なく淡々と過ごしていった結果に、幸せがある。そう思って撮影に臨んでます。何度も言いますが、原田さんと一緒に演技できるのがうれしいですね」と、日々の撮影の中で原田との共演で幸せを感じていると語った。
原田も「物語自体は日常が描かれています。だからこそ、鶴瓶さんと一緒に夫婦の空気感やテンポを大切にしています。ワンシーンの積み重ねひとつひとつが、最後に大事な思い出のひとつひとつになる。そういう作品だと思って、鶴瓶さんをずっと見つめていろいろ発見したいですし、その時間を大事にしようと思います」と鶴瓶との撮影の日々を、慈しむ思いを語った。
西畑さんは「僕の人生が映画化されると聞いた時、驚きました。夢かと思いました。初めて鶴瓶さんの名前を聞いてあの有名な方なのかと、それも夢のようでした」と、自らの人生の映画化と、自身の役を鶴瓶が演じることを喜んだ。皎子さんは14年に亡くなり、自身も87歳になったが「この映画をたくさんの方々に見てほしいです。今から心がわくわくしています。そのために長生きしたいです」と期待を寄せた。
塚本連平監督 西畑保さんの人生を知り、そのラブレターを読み、絶対に映画にしたいと思いました。コロナ禍で保さんに電話で何度も取材してから4年目、ついにクランクインを迎えます。思い描いていた夢のキャスティングが実現し、撮影は期待と喜びしかありません。夫婦の物語、家族の物語、絆の物語、学ぶ事、夜間中学、戦争、普通って何?幸せって何?そして、可能性の物語。保さんの人生を通して、多くの伝えたい事を全て入れました。大笑いして、大泣きして、優しくて、素朴で、心に残る映画。観終わって誰かに感謝を伝えたくなる、そんな映画を目指します。



