NHKと民放でつくる放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は30日、テレビ朝日「報道ステーション」で名誉を棄損されたとする野中広務元自民党幹事長の申し立てについて、「名誉棄損をきたしかねない重大な放送倫理違反があった」と判断し、今回の決定内容を放送するよう同局に勧告した。

 問題となったのは、昨年7月放送の徳島県の土地改良区をめぐる多額横領事件の報道で、全国土地改良事業団体連合会会長を務める野中氏の映像を使った。

 委員会は、映像の使用が野中氏の社会的評価を低下させたとした上で「極めて安易で短絡的である」と指摘。事件に絡めた政府の補助金に関する報道についても、裏付け取材が不十分だったと判断した。

 野中氏側が主張した名誉棄損や肖像権などの侵害については、放送内容に「真実と信じる相当の理由がある」などとして認めなかった。

 [2009年3月30日16時54分]ソーシャルブックマーク