来年4月に上演される故つかこうへいさん(享年62)の代表作「熱海殺人事件」に若手俳優中村蒼(20)が出演することが26日、分かった。今年開催された「つかこうへい復活祭」の第2弾として、つかさんが拠点としていた東京・新宿の紀伊国屋ホール(4月6~15日)で上演されるもので、中村は犯人の大山金太郎を演じる。

 中村は05年の「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞し芸能界入り。映画「ひゃくはち」に主演し、今年はドラマ「花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011」にレギュラー出演。舞台「田園に死す」「カレーライフ」に主演するなど、演技力でも注目の若手だ。

 中村を起用した背景には生前のつかさんの思いがあった。つかさんは「熱海-」の台本を何回も書き換え、いくつものバージョンがあるが、唯一、直さなかったせりふが金太郎の「年は19」だった。金太郎役にはいつも若い俳優の起用を考えていたという。演出の岡村俊一氏は「つかさんには金太郎役で若い俳優を育てようという気持ちがあったと思う。今回は中村君にやってもらい、来年以降も若い俳優で役をリレーしていければ」と話す。

 警官ハナ子には今年に続いて長谷川京子が出演するが、年明け早々に第2子を出産予定で、これが産後初仕事になる。部長刑事木村伝兵衛に山崎銀之丞、刑事熊田留吉に武田義晴が決まっている。

 ◆熱海殺人事件

 73年に文学座で初演され、74年に岸田戯曲賞受賞。登場人物は部長刑事木村伝兵衛、地方から来た刑事熊田留吉、伝兵衛の愛人の警官ハナ子、恋人殺しの犯人大山金太郎の4人で、伝兵衛が三流の犯人金太郎を一流に育て上げていく。伝兵衛役は三浦洋一、風間杜夫、阿部寛、石原良純、熊田は平田満、春田純一、ハナ子は黒谷友香、内田有紀、黒木メイサ、金太郎は加藤健一、酒井敏也らが演じた。