漫才トリオ「レツゴー三匹」のレツゴーじゅんとして親しまれた俳優逢坂(おうさか)じゅんさん(本名・渡辺美二=わたなべ・よしじ)が8日午後5時29分、脳出血のため大阪市内の病院で亡くなった。68歳だった。吉本新喜劇を経て結成したレツゴー三匹で人気を集めた。90年代以降は俳優業に力を入れ、最近はTBS系「半沢直樹」やNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」にも出演していた。

 所属事務所の担当者によると、じゅんさんは、今月6日昼すぎに大阪市内の自宅で倒れた。同市内の病院に救急搬送され、緊急入院したが、担当者によると、そのまま意識が戻ることはなかったという。担当者には2日後の8日に、じゅんさんの息子から、亡くなったという連絡が届いたという。関係者によると、じゅんさんから体調が悪いなどと聞いたことは特になかったという。7月には名古屋・中日劇場の中村美律子公演、8月には大阪・新歌舞伎座の前川清公演に出演を予定していた。

 じゅんさんは、高校を卒業後、吉本新喜劇の研究生募集を知り、劇団入り。駆け出し時代は、西川きよし(67)らと、名もなき通行人を演じ、花紀京(77)の付き人を務めていた。その後、レツゴー正児(73)に誘われ、タイヘイ一門へ移り、レツゴー三匹を結成。後にメンバーが入れ替わり、レツゴー長作(70)と3人で活動を始めた。

 「じゅんでーす」「長作でーす」「三波春夫でございます」という口上で全国に知られるようになり、上方漫才大賞も受賞した。

 70年ごろには、故藤山寛美さんの発案で、当時大人気だった「内山田洋とクール・ファイブ」のパロディーとして「フール・ファイブ」が作られて加入。メンバーだったきよしによると、寛美さんをはじめ、じゅんさん、坂田利夫(72)月亭八方(66)の5人で「アホばかりを集めようということでできたグループだった」という。

 90年代に入ると、漫才活動を休止。以前から始めていたテレビや舞台での俳優活動をメーンにして「逢坂じゅん」を名乗るようになった。味のある演技と存在感でドラマや舞台にも多く出演。昨年はTBS系「半沢直樹」で主人公を苦しめた社長の隠しマンションの所有者を演じて作品を支えたばかり。NHK大河ドラマ「龍馬伝」やNHK連続テレビ小説「ごちそうさん」など話題作にも出演した。

 ◆逢坂じゅん(おうさか・じゅん、本名・渡辺美二=わたなべ・よしじ)1945年(昭20)7月2日、大阪府生まれ。64年に吉本新喜劇に入団。69年に正児、長作とレツゴー三匹を結成。73年に上方漫才大賞受賞。脚本家逢坂勉氏と知り合ったことで91年から逢坂じゅんの芸名で俳優として活動した。