4回表広島無死満塁、藤浪(中央)交代を告げられがっくりする(撮影・前岡正明)
4回表広島無死満塁、藤浪(中央)交代を告げられがっくりする(撮影・前岡正明)

阪神が逆転優勝を狙うには、藤浪の完全復活が絶対条件だと思っていたが、やはり厳しいと言わざるを得ない。4回1死満塁で降板し、2番手馬場が打たれて5失点(藤浪の自責点)したが内容的にも、あれ以上の続投は難しかった。

ピッチングになっていない。打者と勝負するというより、ストライクゾーンに投げるのが精いっぱい。捕手梅野の構える位置は、ほぼ一緒で打者との駆け引きというレベルまでいっていない。初回も鈴木誠に3ランを浴びるまでの15球はオール真っすぐ。6番ピレラの初球にカットボールを投げるまで直球が続いた。阪神のベンチ入り選手で、これを捕手のリードのせいにする選手はいないだろう。

特に悪いのは走者を出した時。ほぼ走らないだろうという走者や、盗塁の可能性が低い状況ではまだいい。しかし盗塁の可能性がある走者を背負うと、腕の振りが鈍くなる。点差が開いている時ならいいが、走者を置いて悪くなる投手は接戦で勝てない。さらに付け加えるなら、今の状態では抜け球を怖がらない打者にも分が悪い。前回5日の巨人戦では5回途中11失点。優勝という目標があるチームには通用しないだろう。

阪神先発の藤浪晋太郎(撮影・岩下翔太)
阪神先発の藤浪晋太郎(撮影・岩下翔太)

フォームの見直しが必要だ。テークバックで右腕が背中に入りすぎ、トップの位置に右腕を上げていく時に頭が突っ込んでしまっている。テークバックが直らないというのなら、プレートの踏み方を直すのも1つ。藤浪はプレートにスパイクの歯をかけて投げるが、これだと上半身が突っ込みやすくなる。プレートの横にスパイクを添えるように変えた方がいい。

これができないなら、投げる位置を少し下げるしかない。開いて投げる投手はサイドの方がいいし、スライダーはもっと良くなる。いずれにせよ、何かを大きく変えなければ、これ以上の現状打破は難しいだろう。(日刊スポーツ評論家)

4回表広島1死満塁、降板となった藤浪晋太郎はベンチでがっくり(撮影・岩下翔太)
4回表広島1死満塁、降板となった藤浪晋太郎はベンチでがっくり(撮影・岩下翔太)