折尾愛真(北福岡)の4番、上地龍聖内野手(3年)は、大差をつけられての敗戦にも笑みを浮かべていた。

 5歳で小児がん(バーキッド型悪性リンパ腫)が発覚。半年間入院し、抗がん剤治療をほどこした。入院中にボールやバットで遊んでいたという上地少年は「退院する日に、甲子園での早実と駒大苫小牧の決勝再試合(06年夏)を見た。野球をしたいと思った」。その後、千鳥小2年から野球を始め、折尾愛真の4番として甲子園という夢を実現させた。「ここまで大きくなったというところを見せたかったのでフルスイングしました」と三塁側アルプスで応援した両親に感謝した。1回にチーム初打点となる犠飛をマークし「絶対、先制点を取りたいと思っていた」と胸を張った。

 「同じ病気で苦しんでいる人に勇気を与えたかった。大学で野球を続けて、将来は教員になりたい。甲子園は本当に楽しいところでした」。上地のフルスイングは多くの人を勇気づけた。