エンジョイベースボール旋風で107年ぶりに夏の甲子園の優勝を果たした慶応(神奈川)。丸刈り選手不在で「高校野球のあり方を変えた」という見解もあったが、実は部員107人の中で1人だけ丸刈りがいた。

「イッキュウ」の愛称でチームメートからかわいがられている酒井一玖内野手(1年)で、スタンドでそのわけを聞いた。「去年の主将が丸刈りだったんですよ。高校野球といえば丸刈り。自分はそう思うから、丸刈りがいい」。定期的に自分で髪の毛を刈っている。小学生の頃は、夏の高校野球の時期に合わせて丸刈りに。「中学で野球引退してから少し長かったんですけど、入学前に丸刈りにして『やっぱりいいな』って。高校3年間、丸刈りを貫きたい」と笑みを浮かべた。

日本高野連から今年6月に発表されたデータでは丸刈りの学校の割合は26・4%で、5年前の76・8%から大きく減っている。「非丸刈り」は主流と言えそうで、ある意味「イッキュウ」は目立っている。卒業後もその髪形を貫くのかと聞くと「大学では伸ばします」とのこと。高校野球の舞台では、自身のスタイルを追い求めるそうだ。

酒井は、小学6年で千葉ロッテマリーンズジュニアに選出。中学3年時には軟式大会で全国優勝している。文武両道を極める107人の部員からメンバー入りするのは、狭き門だ。この夏をスタンドで過ごし、「やっぱり甲子園にメンバーとして出場したい」と燃える思いを口にした。来年、再来年の甲子園で、慶応の丸刈り選手が躍動していれば、それは「イッキュウ」かもしれない。【中島麗】