開幕まで1週間を切ったこの時期に、阪神の4番マウロ・ゴメス内野手(30)があわや退場となるシーンがあった。9回裏、中飛に倒れた引き揚げ際に球審にクレームをつけるようなしぐさをして、言い争いになりかけた。2試合連続の4打席凡退でオープン戦は10打席音なしにイライラが募ったのか。4番の不振もありここ5戦で7得点と、打線の湿り具合が気になる。

 同点の9回、ゴメスは中飛に倒れた。ベンチに戻る途中、嶋田球審とすれ違いざま、にらみ合った。ゴメスが自分の両目を指さすようなしぐさをすると、同球審がヒートアップして詰め寄った。すぐさまマートン、首脳陣が割って入った。

 ゴメスは「打席から帰ってくるときに審判がずっとこっちを見ていたので、どうしたのかなと思っただけ。何も言っていない」と説明した。一方、嶋田球審は「ストライク判定に不満だったんじゃないですか。それ(9回)までは普通にやっていました」。どちらも落ち着いて振り返ったが、9回の打席で外角球をストライクと判定されたゴメスは納得できない様子もうかがわせた。

 ゴメスはこの日も4打数無安打。1打席目はボールになる変化球に手を出して空振り三振に倒れた。前日の4打数4三振と合わせて、ここ2戦で8打数無安打5三振。開幕直前、ボール球にバットが止まらず、結果が出ない状況に対するイライラが見てとれた。

 和田監督は「多少はナーバスになっているのかもしれないけど、ちょっと、昨日から見極めができなくなっている」と心の揺れを感じて気をもんだ。不動の4番が沈黙したここ2戦は2得点にとどまる。「(開幕まで)1週間を切っているわけだから。個々が自覚して状態を上げていくという。もうそれだけだよ」と復調を祈るしかない。

 開幕まで準備ができるのは、泣いても笑っても、あと1試合。阪神の4番はゴメス以外にいない。この日のエキサイトぶりも裏を返せば戦闘モードに入った証拠。ゴメスも腹は決まっているとばかりに「残り1試合、同じように準備をするだけ。いい状態で臨みたい」と言った。【鈴木忠平】